ささげもの

心の旅

ささげもの1 事実の力 実在する力

苦しみ(まえがき)

 

あなたは何かに苦しんでいますか?

苦しみはどこから来るのでしょう?

例えば肉体的な痛み、経済的困窮

人間関係の問題、心の問題

苦しみの原因はまさにそこに

自覚している所にあるのかもしれません

 

それでも予期せぬ所にあったとしたら

私たちの盲点に苦しみの原因があり

それを可視化することができたとしたら

私たちを苦しめていたものは

私たちの意図を越えて

克服されるのかもしれません

 

あなたの苦しみはどこから来るのでしょう?

物理的な痛みから来るのでしょうか?

あなたの置かれた環境や状況

出来事から来るのでしょうか?

相手の人から来るのでしょうか?

あなたの苦しみはどこから来るのでしょう?

 

 

引き金(私について)

 

知ることで解決に向かうものがある

私たちの中にいるものを知り

それがいることを認める時

私たちは自然に次の段階へ進む

まるで封印された細胞の情報が

解除されるかのように

 

私たちは流れる

否応なしに進化を続けるもの

それに抵抗するものがいる

私たちの中にいて問題の元凶になっている

私はその抵抗を解くきっかけ

引き金に過ぎない

 

 

願い(本書を読む前に)

 

ゆっくりするのは難しい

じっくりするのも難しい

せっかちな私にはもどかしい

それはここでの本題とも言える

 

できるだけゆっくりとできるだけじっくりと

嫌がるものの抵抗を余所に

できるだけゆっくりとできるだけじっくりと

それがなければ始まらない

 

「音」と言うよりは「音波」が近い

微弱な振動

時空の音か?血の流れる音か?

耳鳴りよりも幽かな音がする

 

静けさがなければ生まれない

静けさがなければ育たない

静けさがなければ質は上がらない

創造の場所には静けさがある

 

静けさは豊かさとも言える

静けさがなければ腑に落ちない

静けさがなければ始まらない

静けさがなければ意味がない

 

喧騒の中では永遠に起きない

大きなことは静けさの中で起きる

微かな気づきが世界を変える

あなたに静けさがありますように

 

 

ガジュマル

 

幹のように膨れ上がった根は

宿主を呑み込み、一本の巨樹になる

始まりは小さな種でも

鬱蒼としたその姿からは

もはや元となるものは見出せない

 

デタラメに伸びた枝は無関係に見えている

それでも出所は一つ

私たちがある症状を示す時

元となるものは膨れ上がり

デタラメにまた別の症状が現れる

 

私たちは症状のデパートになる

それでもこの病は全く周知されない

こんなのは専門家の怠慢じゃないか!

それとも術者さえも罹患していたのか?

科学を持ってしても掴めないのか?

 

私たちがこの事態を乗り越える時

つまり元となるものを知り

それがあることを認める時

シメコロシノキは多幸樹となり

聖なる木となるのかもしれない

 

 

 

イメージとしては狭苦しい

進行方向は常に見えない

振り返ることはできても

二度とそこへは行けない

鼻の頭と背中にピタリと二枚の壁がある

 

前の壁は元々闇のように暗い訳でも

状況によって不透明になる訳でもなく

鏡のように私の心を映している

後ろの壁も鏡のようでガラスのようで

経年と共に曇って行く

 

私は線状の時間を生きているようで

常に今ここの点状を生きている

踏み台昇降運動よりも退屈な

今ここというその場で足踏みをし

背景が流れて行く、という感じかもしれない

 

狭い狭いこの空間で生きている

今ここで変わりなく暮らしている

それでも私は老いて行く

今ここからは抜け出せない

影のようにそこにある

 

「影が、そこに」と言うよりは

私自身が今ここなのかもしれない

一瞬未来ではない

一瞬過去ではない

私はいつも今ここを生きている

 

 

もう少しの仕上がり

 

地球に生まれた私のつとめ

今ここを生きること

過去へは行けない

未来へも行けない

ここではないどこかへも

 

いつも今ここを生きている

とても限られたこの空間が私の生きる場所

それでもない

意識がない

体しかない

 

過ぎてしまったことに囚われる

起きるかどうかも分からないことに囚われる

ああなれば変わる

ああなれば良くなる

「ああなれば」の「ああ」は私の頭の中

 

意識はどこかにある

過去と未来に

ここではないどこかに

今の私ではない他の誰かに

体と意識は離れている

 

体は放置されたままで

何億年も過ぎてしまった

それでももう少しで繋がる

ようやく今がその時

私はもう少しで仕上がる

 

 

空を見ない

 

帽子を目深に被り、下を見ている

下も見ていない

起きていないことを見ている

起きるかどうかも分からないことを見ている

失ったものを見ている

ないものを見ている

 

ないものは見えない

それでも見ている

ないものを見て喜ばない

苦しんでいる

あなたには気づきがない

生まれた頃から一体のそれには疑いがない

 

吸い込まれそうな青い空に言葉を失う

存在の世界はそこにある

それでもあなたには見えない

あなたはないものを見ている

意識の世界を生きている

そんなあなたは空を見ない

 

 

老いも若きも

 

あるものは見える

それでも見えない

ないものは見えない

それでも見ている

 

時間があれば

自由があれば

お金があれば

経験があれば

 

予定があれば

繋がりがあれば

元気があれば

若さがあれば

 

 

後ろの正面

 

あるうちは見えない

なくなってから見える

見えた時にはない

 

なくなってからでは遅い

私は喪失感に襲われる

自責の念にかられる

 

またなくなったものを見ているじゃないか!

今あるものも今いる人も見えない

同じ繰り返し

 

見えないものを見せて見えるものに蓋をする

そのことで私を不幸にしようとする

私の何がそうさせるのか?

 

すると即座に答えた

「人とはそういうものだ」と

さっきのものが私にそう答えた

 

 

 

予測できないことを言っても仕方がない

「ねばならない」は相応しくなくても

予測できないことに囚われていることを

シリアスに受け止めなければならない

 

来年のことを言えば鬼が笑う

明日のことを言えば鬼が笑う

鬼とは何だろう?

私の中にいる者かもしれない

 

来年かもしれない

明日かもしれない

今にないものを見せる者がいる

私に幻を見せて太り、喜ぶ者がいる

 

来年のことを言えば鴉が笑う

明日のことを言えば天井の鼠が笑う

何が可笑しいのか、私を見て笑う

鴉や鼠になくて私にあるものは何だろう?

 

来年かもしれない

明日かもしれない

ここにないものを見せる者がいる

私に幻を見せて太り、喜ぶ者がいる

 

 

染み

 

一滴が滲むように拡がって

染みのように沈着した

油断も隙もない

疲れている時、余裕のない時

すでにそこにいる

私はすでにそのものになろうとしている

 

どうしてこんな目に遭うのか

あいつばかりが楽をしているじゃないか

こんな理不尽は耐え難い

そう言えばあの時もそうだ

だいたいあいつはいつもそうだ

もうやっていられない!

 

僅かな思考と負の感情が

染みのように拡がる

私も私の状況も見る見るうちに染めてしまう

今ここにないことで

僅かな思考と負の感情で

たった一滴で私を支配する

 

 

疲労

 

大きく息をついた

何かの終わりを告げるように

溜まったものを吐き出すように

うんざりするように

私は疲れている

 

私よりもずっと貧しい人がいる

私よりもずっと重い人がいる

私よりもずっと深刻な人がいる

いや、「誰かよりも」は関係ない

私は疲れている、一体何に対して?

 

深刻な事態に対してか?

ずっとずっと貧しい人がいる

ずっとずっと重い人がいる

ずっとずっと深刻な人がいる

深刻な事態に対してか?

 

私は知らなくても考えは中身を変えて現れた

考えの中身ではなく、考えと感情に

考えと感情、そのものに私は疲れていた

私は息が詰まりそうになる

体は呼吸さえも忘れて縮こまる

 

 

考える

 

怒ろうと思って怒らない

恐れようと思って恐れない

不安になろうとして不安にならない

後悔しようとして後悔しない

 

考えは起こすものか?

起こすもので起きるものかもしれない

問題に向かう時、私は考える

考えようとして考える

 

感情を孕んだ考えは少し違う

それはやって来る

気づかぬうちに現れて

私と一つになって私を呑み込んだ

 

私は考えているのか?

考えに囚われているのか?

 

 

座禅

 

雑念妄念がやって来る

他人からではなく、出来事からでもなく

雑念妄念はやって来る

私からではない

それでも私からやって来る

 

失ったあれが惜しい

ああしておけばよかった

私の人生は何だったのか?

ああなっては大変だ、不味いことになる

これは敵わない

 

考えと感情がやって来る

他人からではなく、出来事からでもなく

考えと感情はやって来る

私からではない

それでも私からやって来る

 

イライラさせる

ジリジリさせる

そわそわさせる

くよくよさせる

鬱鬱とさせる

 

揺さぶり、追い詰め、力を奪う

それをするのは私なのか?

考えと感情はやって来る

私からではない

それでも私からやって来る

 

 

曇らせる

 

喜び、幸せの日々

それらは確かに存在した

事実として

 

それでも敢えて選んだ

膨大な記憶から敢えて苦しみを抜き出して

私に見せた

 

私は見せられるまま

生まれた頃から一体の

それには抵抗も気づきもない

 

過ぎたことが現れた!

失ったもの、去って行った人が蘇った!

あの時のように私はここで心を曇らせた

 

 

ナンセンス

 

「もし」はあまり要らない

あるのはそれだけなのだから

「たら」はあまり要らない

起きたのはそれだけなのだから

 

「だとしたら」と言う

そうではないことを

「そうだったとしたら」と言う

気楽な遊びを越えてシリアスに受け止める

 

存在しないものは存在しない

無いものは無い

無いものを仮想した通りに

「だったとしたら」と言っても仕方がない

 

私はナンセンス

選ばなかった現実が、知りようのない現実が

想像通りに存在すると決めつけた

「ああしておけばよかった」と後悔までした

 

 

典型

 

前代未聞

異例の、前例がない

過去から判断すると懸念される

どうなるか疑わしい

 

事実を見せない

幻を見せる

見せた上に苦しめる

それが典型かもしれない

 

前例のないものを拒む私の世界は進化しない

過去から判断する私には過去も未来も同じ

どうなるか分からないと疑う私には

未来が分かる、つまり良からぬ事が起きると

 

私には事実が見えない

進化して来たこの世界

過去、現在、未来の違い

未来の事はただ分からないという事実が

 

事実が見えない上に恐れ、疑い、悲観した

すでに乗っ取られているじゃないか!

私は自我に乗っ取られた人間

その典型じゃないか!

 

 

幻覚

 

異常と正常の差は何だろう?

すべてを知らない、ましてや本心は

私が見ているのは部分に過ぎない

それでも部分から拡げた

 

私の勝手な解釈で拡げた

そこにあるのは仮想した相手と物語

それでも見ている

現実を見るように私は見ている

 

だから私は嫉妬し、惨めになり

自棄になる

私は恐れ、憎み

力に訴える

 

実体は分からない

存在の世界で起きていない

それでも見ている

現実を見るように

 

幻を見せる者がいる

私に見せて苦しめる

見せた者は紛れた

「思い込み」という言葉に

 

 

支配者

 

兄を殺した

兄が戻ることを恐れた

権力の座に就いても兄には何もできなかった

それどころかその気がなかった

重責を負ってまでも自由を失ってまでも

権力を握りたいとは思っていなかった

 

兄とは疎遠になっていた

兄も身の危険を感じていたに違いない

私に近づこうとはしなかった

遠い異国の地で権力とは無縁の暮らしだった

それでも私は殺した

血の繋がりがあるだけの無力な兄を

 

殺したのはなぜだろう?

私は恐れた、絶対的権力者の私が

兄の方が強かったのか?

私は幻を見ていたのか?

無力な兄が、ここにいない兄が

私よりも大きくなったのだ

 

「これは不味いことになりそうだ」

なりそうだ?

事実ではない仮想、現実ではない空想

異国の地でひっそりと暮らしていた兄

その気のなかった兄

道楽者、自由人だった兄

 

私には事実が見えなかった

不実を見て

思い込みで

勘違いで

実在しない幻を見て

私は兄を殺した

 

殺したのは私なのか?

殺したのは私の恐れ

恐れという事実に基づけない幻

恐れという幻を見せたもの

自己意識を越えた私の自我

自我という私の支配者

 

 

忘却

 

ああなったらどうしよう

大丈夫かな?

不味いことになりそうだ

これは敵わない

 

恐れの指すその頃が今になる時

私は忘れようとしている

陰りのある心、錯綜していた思い

何を恐れていたのか、それさえも

 

だから私は知らない

恐れの感情と起きたことの違い

恐れという感情の精度

奪われて来た現実を

 

当たっていようと外れていようと気にしない

今にない過去と未来にここではないどこかに

話題はいくらでもある

話題を変えてまた見せてやればいい

 

自我になった私は気づかない

すぐに忘れてくれる、何度も嵌ってくれる

どうしてこんなことになったのか?

防衛本能だったはずの恐れが今や私を脅かす

 

そもそも私は何に怯えていたのか?

起きてもいない幻に?

事実でもない不明のものに?

私は恐れという幻影に怯えていたのか?

 

 

一寸先

 

闇でも透明でも不透明でもなく

先は見えない

きっと過去のいつであっても先は見えない

自我になった人間は恐れに対して忘れやすく

自覚のないものかもしれない

 

昨日も言っていた

その前も言っていた

今日のさっきも「先行きが不透明だ」と

先の見える時代があったのか?

そんな時代があるとは思えない

 

透明感も不透明感も

安定感も不安定感も

錯覚に違いない

常識でもその幻のような感覚が

この世界を動かしているとは思えない

 

闇でも透明でも不透明でもなく

先は見えない

次世代の人間には見えるのかもしれない

それでもきっと見えない

私たちは元々今を生きるようにできている

 

 

無責任

 

焚きつけるだけ焚きつけた

けしかけるだけけしかけた

煽るだけ煽って

起きるだけ起きた

後は知らない

その後の報告がない

 

懸念というものは無責任だ

疑いというものも無責任だ

検証というものがない

反省も改善もない

検証というのは懸念と疑い

そのものについての検証だ

 

焚きつけるだけ焚きつけた

けしかけるだけけしかけた

煽るだけ煽って

起きるだけ起きた

質の悪いマスコミのように

中身を変えてまた現れた

 

 

シルエット

 

人影にさえも怯えていた

黒いシルエットは見るのも怖かった

用を足すにも風呂に入るにも一人は怖い

落ち着かない私は扉を開け放した

何かあればすぐに呼んだ

「おかあさん!」

 

明かりがなければ眠れない

音がなければ落ち着かない

子どもの私は何に怯えていたのだろう?

気づけば大人になっていた

恐れが小さくなったのか?

幼かっただけなのだろう

 

生き物でもあるまいし育つものとは思えない

それでも明かりがなければ眠れない

音がなければ落ち着かない

黒いシルエットのように私の中で育っている

恐れが?

恐れをもたらすものが?

 

育つのだろうか?

全体のものになるとでも言うのだろうか?

AはBに備えて今日も注ぎ込んだ

BはAに備えて今日も勤しんだ

何も起きていなくても

テクノロジーは日進月歩

 

BはAを上回るように今日も注ぎ込んだ

AはBを上回るように今日も勤しんだ

「何か起きてからでは遅いのだ!」

相手のシルエットは成長する

オーバーキル

みんなが死んでも残っている

 

 

何ともない

 

起きていないことを思う

起きていないことにあまり喜ばない

「人とはそういうものだ」

と私は疑わなかった

起きていないことを思うのはなぜだろう?

 

不安、恐れ、後悔

起きていないことに心を曇らせる

考えてみれば奇妙だ、起きていないのだから

それでも私は不安になり、恐れ、後悔する

起きていないことに心も体も奪われる

 

過去は過ぎたもの、未来は現れていないもの

私はいつも今を生きている

今は起きていない

これから起きるかどうか分からない

私はいつも今を生きているのだから

 

「こんなことになるとは思いもしなかった」

予測できないことを私はちゃんと知っている

それでも決めつけた

「起きるに違いない」と決めつけて

心を曇らせた

 

過去は過ぎたもの、未来は現れていないもの

私はいつも今を生きている

今は起きていない

これから起きるかどうか分からない

今は何ともない

 

 

遠ざける

 

ゆっくりできない

じっくりできない

不要不急でも気持ちは先に先にある

(「先」と言っても

事実に基づくものではないのだが)

 

他人ではなく、状況でもなく

私でもない、それでも私

私の中にいるものが遠ざけようとする

私の意識の焦点を私がいる今ここから

遠ざけよう、遠ざけようとする

 

取り掛かっていても散漫になる

現れる思考の流れ、感情のざわめき

空想世界に私は引き込まれる

意識は今を置き去りに

過去と未来、何処かと何処かを行き来する

 

他人ではなく、状況でもなく

私でもない、それでも私

私の中にいるものが遠ざけようとする

私の意識の焦点を私がいる今ここから

遠ざけよう、遠ざけようとする

 

 

トーン

 

だからで始まる

それは強い「だから」

始まりに「だから」は可笑しい

それとも始まっていたのかもしれない

 

コンピュータの声を聞く度

私はトーンの重要性を認識する

言葉の意味だけではない

私はトーンから意味を受け取る

 

抑揚がないのは冷たい

抑揚がないのは不自然

調子が強いのは不愉快

調子が強いのも不自然

 

穏やかなトーンは気にならない

自然だからかもしれない

だからで始まるのはなぜだろう?

調子が強いのはなぜだろう?

 

有り余った力のせいとは思えない

それはムキになる時の調子

訴えるような、追い詰められたような

神経質で自己防衛的な臆病なトーン

 

何よりもそのトーンに私が反応している

私の中の同じものが

言葉の意味を抜き取った

そのトーンにざわめき始めている

 

私の中で拡がり始めている

同じ色に染まり始めている

攻勢を強めている

私は奪われて行く

 

 

感染

 

恫喝する声

それは今起きている事かどうかも分からない

テレビから聞こえる音

それでもざわめき始めている

それが私に向けられたものではなくても

 

暴走するバイクの音

私と距離があっても反応する

感度のいいセンサーのように

姿のない誰かの怒りを受け取り、同調する

私はイライラしている

 

本当に優れている

同じ騒音でもそれがどこから来るものなのか

瞬時のうちに識別する

怒りは他者の怒りを誘う

自我は他者の自我を刺激して同調させる

 

こんな事も知っている

あんな事もできる

どうだ、凄いだろう?

見てくれ

認めてくれ

 

自我は伝わる、そこに姿はなくても

行間からトーンから伝わる

相手の自我を刺激して同調させて太らせる

寄主は何も知らない

それは無意識の下でなされる

 

 

適任者

 

適任者を知っている

決して間違えない

間違えれば己の存在は危うくなる

それでも決して間違えない

あなたではなく

あなたの中にいる者が

 

捕まえたら吐き出す

対面でも電話越しでも自分の話

失ったものの話

不安が堰を切って溢れ出す

きっと氷山の一角

声に出なくても繰り返している

 

悦びなど浮かばない

思いやる余裕はない

知ろうともしない

知っていても関係ない

嫌われても関係ない

それに導く者には何の関係もない

 

 

捕らえるワタシ 捕らわれるわたし

 

忙しくても関係ない

退屈でも関係ない

苦痛を与えても関係ない

相手のことは考えない

 

分かっていても満たそうとする

私の話は一方的で

ぼやき、嘆き、批判の類

延々と自己主張することもある

 

こんなことも知っている

あんなことも考えることができる

私の話には説得力がある

私は正しい、あの人は間違っている

 

得意になって話し続けた

話が終わりに差し掛かる頃、「はっ」とした

ヒートアップしている自分と相手との温度差

私だけが話をしていたのだ

 

そこに2人の私がいた

捕らえるワタシと捕らわれるわたし

私は無意識のうちに捕らわれた

身勝手な行動に出た

 

 

台無し

 

類い稀な才能と努力

スポーツでも音楽でも

人並み外れたプレイヤーがいる

憧れの的、尊敬の対象

私には高嶺の花

 

それでも味わえる

足を運ばなくても大金を払わなくても

これは私に与えられた恵みのはず

ところが邪魔する者がいたのだ

私にとんでもないことをさせた

 

「ああすればいいのに」

「何をやっているんだ!馬鹿野郎!」

「あいつは何も分かっていない」

「だからあいつはダメなんだ」

「こいつの方がまだマシだ」

 

尊敬の対象だったはずの

人生のすべてを捧げる人にそれを向けたのだ

驚くはずの私が退屈な顔

嬉しいはずの私が舌を打ち

私の辺りを気まずくさせた

 

類い稀な才能と努力

味わうことができたはずの恵み

全部台無しにした

楽しむ秘訣は素直に味わうことかもしれない

素直になれない者の抵抗を余所に

 

人並み外れたスピード、正確さ、美しさ

躍動する細胞、天体で起きているこの事態

「うわぁ、凄いなぁ!」

子どもの驚きで接するのが一番かもしれない

後は何も要らない

 

 

天邪鬼

 

楽しそうな人たち

声の大きな人たち

遊ぶ人たち

彼らを遠巻きに見ていた

 

「それどころではないのだ」

 

頭の中でそう呟いて鼻で笑った

それはどこか大義名分のようで

自分を守るためのいい訳にも聞こえていた

無邪気な声に自分にないものを感じていた

 

どこか笑いを否定している

どこか遊びを否定している

どこか喜びを否定している

深刻なものに近づく方が楽になっている

 

「こっちに来ないか?」

彼らが声を掛けてくれた

一瞬動揺した、それでも抵抗する者がいて

私は丁重に断った

 

私は薄々気づいている、それでも見当は違う

気質、性格、心掛けのせいとは思えない

私の険しい表情、まゆあいの皺が物語る

私は自我を知らない

 

 

まゆあい

 

子供の独り言は明るい

まるで異次元にいる自分との会話

鏡の私をどう見ていたのだろう?

それでもそこにあったのは確かに私の物

 

映り込んだ顔

神経質な顔

陽を浴びてできた皺とは別の

青白いまゆあいの皺

 

深刻さが何をしたのか?

何かを成し遂げたのか?

奪うことしかできないものを

私は握り締めている

 

あたかもそれが私を守るかのように

それが何かを成し遂げるかのように

あたかもそれが仕事であるかのように

真っ当な人間の態度であるかのように

 

映り込んだ顔

見慣れた顔

あの頃とは別物

乗っ取られた顔、自我の顔

 

 

性格

 

言葉はそれを指す仮のものなのだから

「性格」と表現しても構わない

それでもすでに適当な言葉がある

人目を嫌う「自我」という言葉が

 

「自分の性格が嫌になる」

あなたは嘆いていた

それでもあなたはすでに見ている

離れた所から嫌なあなたを見ている

 

あなたに必要なことは強い自覚かもしれない

嫌なあなたとそれを見ているあなたは別物で

自我に同調したあなたと

それを見ているあなたは別物だと

 

強い自覚が同調に終わりを告げる

不幸にするものとあなたを切り離す

あなたは気づいていなくても

自我は怯え始めている

 

 

自我

 

私には「私」という感覚がある

あなたや彼や彼女ではない

「私」という自己意識がある

自己意識は自我と呼ばれた

 

これは運命の悪戯か?試練か?

自我は紛れたがる

それでも次の形容詞が暴露する

自我が強い、自我が弱い、自我が薄い

 

「私」という自己意識は変わらない

強くなったり弱くなったり

薄くなったりはしない

「私」という自己意識が、ただある

 

「私」という自己意識とは別の

別の自我がある

私の中で強くなったり弱くなったり

薄くなったりする

 

自覚を越えた私と一体になったものがある

「私」という自己意識とは別の

「自我」という言葉に紛れた自我が

私の中にある

 

 

けしかける

 

こんなに理不尽なことが起きている

これは問題だ!

こんなことが許されるのか?

さあ、怒れ!

 

私をけしかけた

私はけしかけられるまま

生まれた頃から一体の

それには抵抗も気づきもない

 

自我は本当に上手くやる

もっともなことを持ち出して

私の正義感や良心につけ込んで

私を怒りに導いた

 

自我は怒りを正当化し

私の意識の裏側で太った

さらに周到に誤魔化した

怒りを人間らしいことだと

 

 

飄々と粛々と

 

怒りを許すな、不正や理不尽に対する怒りを

正義感、人間らしさで許すな

そこに紛れようとする

どんな隙間にでも侵入するならず者が

 

「声を荒げる」

というのは一つの症状だ

私たちは理性的な段階、成人なのだ

怒りっぽい、気が短い、感情的

 

感情という得体の知れないものに与えた

後付けの言葉を

当然のものだと、よくあることだと許すな

私たち現代人は科学の子どもなのだ

 

怒りと起きたことを切り離せ

怒りと事実を切り離せ

ならず者が釣ろうとしている

私たちを怒らせて太ろうとしている

 

すぐに飛び付くな

怒りと一つになるな

怒りからするな

相手の自我をも太らせる

 

飄々と粛々と

私たちは知性的な生命体

意志疎通のできる進化段階

声を荒げる理由などどこにもないのだから

 

 

距離

 

「信じられない」

「あんなに感じのいい人が、普通の人が」

ボタンの掛け違いから一瞬の出来事から

愛情のある人がある日、罪人になった

 

イライラしている

激烈なエネルギーが湧いて来る

すぐにでも吐き出したいエネルギーが

私を底から衝き上げる

 

湧き起こるままに吐き出したいままにすると

距離がなくなる

「イライラしている」

と思っていた私がいなくなる

 

湧き起こるエネルギー、吐き出したい欲求

私とそれとの距離がなくなり、タガが外れる

私には破滅への欲求もあるのかもしれない

「どうなるか見てみたい」と言う私さえいる

 

「魔が差す」と言われる

私の中に魔物がいる

距離がなくなれば瞬時にそれになり

怒りを撒き散らして傷を付ける

 

魔物と向き合う時に来ている

肉体を纏うと同時に纏ったそれを知り

それがいることを認め、距離を取る

やがてそれは私であり、私でないことを知る

 

 

鼻歌

 

しばらくすれば歌っている

私ならどうだろう?

どれほど持ち続けることだろう?

1日、2日、それ以上かもしれない

 

姿のない相手が現れる

怒りが蘇る

姿のない相手と戦う

失った分を取り戻そうとムキになる

 

明るく見えても能天気ではなく

細やかに心を配る

そんな彼女が鼻歌を歌うのはなぜだろう?

本心は分からない

 

それでもクヨクヨしているようには見えない

怒りを抑えるようにも

心掛けで歌っているようにも

歌う姿はとても自然に見える

 

そう言えば自然界の生き物と少し似ている

いつまでもクヨクヨしない

怒りを持ち続けたりはしない

喧嘩をしてもさっぱりとしている

 

彼らにあって私にないものは何だろう?

いつまでも持ち続けるのはなぜだろう?

姿のない相手と戦うのは

何かを取り戻そうとムキになるのは

 

 

矛先

 

恨みはどこから来るのだろう?

相手から来るのか?出来事から来るのか?

恨みの感情も思考もやって来る

どこかからやって来る

 

相手からではなく、出来事からでもなく

考えと感情は私の中からやって来る

私ではない

それでも私の中からやって来る

 

「逆恨みで人を殺すなんてどうかしている」

 

人は追及されても恨みの感情と思考の元に

核心に目は向かない

追及された人、した人

同じようなものかもしれない

 

自我は死角にいる

非難の矛先を自分には向けない

別の者に向ける

自我はそこにいる、あなたのいるところに

 

死角からあなたに忍び寄る

そしてあなたになって仕事をする

自我に光は当たらない

自我になったあなたが自分を疑いはしない

 

 

疑いの力

 

成功哲学、経営哲学、人生哲学

「哲学がない」

主義主張が哲学になったのか?

思想が哲学になったのか?

普遍的で客観的で論理的な

本質へと向かう思考の態度

それが哲学ではなかったのか?

 

哲学は頑なで危ない

哲学は勇ましい

哲学は良識であり、疑いの力

「哲学の時代」と社会が言う

常識や道徳さえも疑う哲学を

己の首に今にも噛み付こうとしている哲学を

社会は受容できるのか?

 

それでも世界は哲学を求め、良識を求める

哲学と良識

それは私に常識を越えた世界を見せる

理解と知覚を越えた可能性を見せる

私自身に疑いの目を向かせ

過ちと知った時に崩れてしまうかもしれない

私の礎にさえも意識を向かせる

 

勇敢な態度は功を奏する

私は自我を知り、自我の罠を見つける

やがて見たことのない扉が開く

私は知らなかった繋がりを取り戻す

哲学と良識

それは意識の進化に

私と世界の進化に欠かせないものになる

 

 

事実の力

 

僅かな隙間がある

科学さえも越える余地がそこにある

自我は科学を特別なものにした

それでも私たちには良心が残っていた

 

「いいから信じろ!」と言われても

事実でないものは信じられない

都合の悪いことでも事実であれば納得できる

事実への信仰心はどこから来るのだろう?

 

「理屈じゃない」と言われても

理屈に合わなければ信じられない

科学的根拠はなくても

理屈に合えば納得できる

 

論理的であること

整合性が取れていること

矛盾しないこと

嘘がないこと

 

知性は文明発展の原動力になって来た

それでもそこに良心がなければ

私たちは破滅に向かっていたのかもしれない

どこから来るのだろう?

 

事実への信仰心は本能から来るのだろうか?

知性は良心の助けを受けて進化を飛躍させる

常識や科学さえも越えて

自我の幻想は暴かれる

 

 

小さな言動

 

子どもに大声は出さない

弱い者に手を出されても

攻撃されたとは思わない

小さな言動は私を脅かさない

 

それでも声を張り上げた

あの一言に、あの仕草に

小さな言動に

 

指を差した

しどろもどろに抵抗した

威嚇するように、身を守るように

 

怒りは恐れの裏返し

私は幻を見ている

傷付いたという幻を

実体以上に私は弱いという幻を

 

私は幻を見ている

幻を見せるものは言葉に紛れた

「プライド」「自尊心」という言葉に

 

 

痛み

 

素直になるのは難しい

確かに覚えている

恐れのような抵抗感を

何かが「痛む」と言っている

 

目が合うと減るのか?

目つきが私を奪うのか?

舐められると傷が付くのか?

そこまで私は弱いのか?

 

「私の人生を否定するのか!」

あの一言に噛み付いた

あの一言が私を奪うのか?

否定されたら私はどうなるのか?

 

「減った」と言っている

「奪われた」と言っている

「傷付いた」と言っている

私の無意識で

 

私は幻を見ている

幻を見る問題は自覚のないこと

見るだけではなく生きている

幻のような痛みを確かに私は感じている

 

 

回復

 

あいつは頭が悪い、出来が悪い

センスがない

あいつはダメだ

何も分かっていない

 

すべてを捧げる人にそれを向けた

街中でもインターネットの中でも

そして頭の中でも

誹謗中傷は渦を巻いている

 

私が何を知るのか?

私に何ができるのか?

私が何をしているのか?

私は狂っているのか?

 

正気とは思えない

ブツブツ、ブツブツ言っている

私はその場を離れることができない

感情のなすがまま

 

見下すように、苛立つように

そして何かを回復するかのように

私は言葉を投げつける

私の無意識で何かが言っている

 

「足りない」

 

気持ちが満たされない

私自身が充実しない

それをプライドや自尊心、充足感や何かの

不足、欠如と言えばいいのか?

 

しかし、何が足りない?

無意識で訴える

「不足している」「欠如している」

「私が可哀想だ」と

 

私はどこまでも非難する

どこまでも相手を下げる

まるで自分を上げるかのように

何かを回復するかのように

 

 

嘲笑う

 

煽るように現れて

私の横を走り抜けて行く

私はなぜか苛立っていた

その苛立ちは私の無意識

過剰な自己愛から来ていた

つまり私が「損なわれた」と

 

奪われていない

それでも奪われたと感じる

私の喪失感は本物か?

喪失感は存在する

それでも喪失していない

私の喪失感は本物か?

 

喪失感で追い駆けた

喪失感で追い詰めた

行く手を遮った

抗議するように

警告するように

取り戻すように

 

私たちを見て嘲笑う

「大人気ない」と言う私たちを見て

ヒトを責める私たちを見て

議論する私たちを見て

動機の解明、厳罰化する私たちを見て

喪失感を見せた者が嘲笑う

 

 

抵抗

 

「いや、違うんだ」

「というよりも」

「というか」

無意識に撥ね付けた

 

少しも受け入れられない

受け入れることは今の私を譲ること

弱い私は少しも譲れない

譲ってしまえば私が無くなる

 

確かに私は弱いのかもしれない

しかし、そこまで弱いのか?

私の抵抗は過剰な自己愛

つまり自我から来ている

 

教わることができない

世話になれない

素直になれない

他人の意見は受け入れられない

 

肩書きのない人

若い人

私の娘、私の息子

私が認めていない人の意見は尚更

 

認められないのは誰だろう?

私に違いない

それでも私でもない

認めたところで私は減らない

 

抵抗感を余所に認めれば学びは増える

可能性は拡がる

私は大きくなり

抵抗する者は小さくなる

 

自我は抵抗しても本心は受け入れる

魂は歓迎する

この世界と同じ

私は進化そのものなのだから

 

 

反射

 

「認めれば無くなる」と思っている

エゴは臆病なのかもしれない

エゴになった私は認められない

今の私を頑なに守ろうとする

 

観念しなければならない段階に来ても

言い訳をしようとする

抵抗しようとする、隠そうとする

咄嗟に無意識のうちに、反射するように

 

それは当然のことかもしれない

「無くなる」と思っているのだから

それでも無くなりはしない、減りもしない

幻に過ぎない

 

認めれば持ち物を失うのかもしれない

社会的地位、信用、名誉

それでも無くなりはしない

存在は減りもしない

 

虚偽や隠蔽のニュースは連日世間を騒がせる

問題は隠れたままでモラルの問題で過ぎる

私と同じものを抱えている

「無くなる」と思っている臆病なものを

 

 

授賞式

 

「不名誉なことだ」

と言いながら受け取った

素直に喜べない

素直に受け取れない

そうかと言って拒否もできない

 

誰かの施し、私への言葉

些細なものでも簡単に受け入れてはいけない

今の私ではないもの

それを受け入れては減るじゃないか

今の私が

 

今の私、私の僅かな言動

それさえもケチをつけられては困る

私に傷が付き、私がえぐり取られ

減るじゃないか

今の私が

 

少しも譲れない

ケチと言うよりも私は臆病なのだ

損なわれたという幻影を

私は弱いという不実を見ているのだ

だから欲しい、少しでも私が欲しい

 

「不名誉なことだ」

と言いながら受け取った

それを受け取れば私は増える

肩書きと権威が私を補強し

私は増大するのだ

 

 

なりたがる

 

どこで学んだことなのか?

私は勝ちたがる

1番になりたがる

それが叶えば認められる

喜びを得られる

私は誇りと自信を手に入れる

 

敗者を作らなければ喜べないのか?

敗者を作らなければ認められないのか?

何が認められるのか?

私の努力、大きさ、存在か?

認められなければどうなるのか?

私が私でなくなるのか?

 

私は持ちたがる

プロフィール欄に並べた肩書きの数々

それは私の存在

持たなければどうなるのか?

失えばどうなるのか?

私が減るのか?なくなるのか?

 

私はなりたがる

今の私ではない他の誰かに

理想の私に

過去は過ぎたもの、未来は現れていないもの

私はいつも今を生きている

今の私を否定して私は何をしているのか?

 

私はなりたがる

今の私ではない他の誰かに

ここではないどこかに理想がある

見たことのない理想がある

見たことがないというのにあるのか?

私は幻を見ているのか?

 

なることで増える、持つことで増える

私が?

失うことで減る、私が?

増大と減少の感覚は事実か?幻か?

なりたがるのはなぜだろう?

ムキになるのはなぜだろう?

 

 

傾向

 

傾向の話もたまにはいいものです

それでも事実に忠実に

起きたことで話してはどうでしょう?

その態度は自我の好きにはさせません

 

かつては隣近所で助け合ったものだ

昔は弱い者をかばったものだ

男の人というのは

女の人というのは

 

近頃の若者は

何々世代の人間は

どこそこの国の人は

昔は、この頃は

 

そこでしているのは飛躍です

事実の飛躍です

起きたことで話してはどうでしょう?

そうすれば飛躍はしません

 

自我は飛躍が好きなようです

事実の飛躍はもはや不実です

それでも気づきません

大の大人が夢中になります

 

虚構と幻影を見るようです

事実ではないことを事実のように

実在しないものを実在するように

私たちの中にその傾向があります

 

 

安定

 

変わらないと思う物でさえ

見えない速さで朽ちて行く

諸行無常

それでも私は許せない

他人の心変わり、人生の方向転換

 

諸行無常

それでも私は求めていた

留まる安定を

いつまで経っても手に入らなかった

頭の中にしかなかった

 

私はいつも今を生きている

一瞬先でも後でもない今を

そんな私が安定を見ている

実在しない安定を、安定という感覚を

私は幻影を見ている

 

 

スタンダード

 

特別なものは要らない

スタンダードだけで構わない

長年探し回って来た

それでも見つからない

 

人によって言うこともすることも違う

少し違うこともあれば全然違うこともある

一体どこへ行けば見つかるのか?

私はスタンダードだけで構わないのに

 

普通、平均、一般、標準

空気のように水のようにありふれている

それでも掴めない

それはなぜだろう?

 

空気のように水のようにありふれている

それでも私は追いかける

追いかけた末に疲弊する

実在しない観念に過ぎないのだから

 

何がそうさせるのだろう?

ないものをあるように見せる

見せるだけでは済まない

私を掻き回す

 

 

フィクション

 

やっと眠ってくれた、と思ったのも束の間

この子は目を覚ましてくれるのだろうか?

明日も会えるのだろうか?と不安になる

子どもに対する母親の心配

それは本質的なものかもしれない

 

病弱でも屈強でも貧乏でも大富豪でも

例外がない

私は今を生きる者、保証のない今を

いつ訪れるのか分からない最期を孕んだ今を

それでも事実が見えない

 

20歳の私は

「人生はこれからだ」と言った

40歳の私は

「人生の折り返し地点を過ぎた」と言った

80歳の私は「老い先が短い」と言った

 

一瞬先さえ知らない私が

いつまで生きるか分からない私がそう言った

私は事実を生きることができない

普通、平均

一般、標準という物語を生きている

 

幼子も老人も関係ない

私は今を生きる者、保証のない今を

私は常に突きつけられている

いつ訪れるのか分からない最期を

私に年齢は関係ない

 

普通も平均も一般も標準も関係ない

医者ではない、研究者でもない

それを生業にしていない私には関係ない

初めての今を生きる

初めての私に過ぎない

 

 

比較

 

優れている、秀でている

劣っている、持っている

言葉にしなくても

頭に「誰かよりも」が付いている

誰かを用意してから私を知るのだ

 

何と回りくどい!

ありふれた教えとはいえ

これほど奇妙なことがよくできたものだ

誰かを用意しなくてもよかった

ただ私を知ることだった

 

私は私で、あなたはあなたで

似ていても違う

その違いは他になく

この世に一つを生きている

そこに比較は存在できない

 

違いが見えなかったのはなぜだろう?

違うものを同じに見たのはなぜだろう?

実体のない「みんな」を見たのは

比較の中で喜ばず、もがいていたのは

私の何がそうさせたのだろう?

 

 

展覧会にて

 

「自由になれる」とは奇妙だ

「自由でいい」とは奇妙だ

自由があるにもかかわらず

「自由でなければならない」とは奇妙だ

なければならないは不自由だ

 

画家は言った

「自由です、何でもありです」

俳人は言った

「少しのルールさえ守っていれば自由です」

それでも付け足した

 

常套句でやってはならない

簡単過ぎる、いただけない

重複している、連想させる

そして最後に付け足した

「まぁ、自由なんですけどね」

 

何もないところに自ら作った

自由なところに自ら与えた

自ら付け足して雁字搦めになるまで縛り上げ

呻き声を上げた

「ああ、難しい」

 

何もないところに自ら作った

日にちを曜日を与えた

「今日は何の日」と物語まで付け足して

初めからあるように振る舞い、声を漏らした

「ああ、忙しい」

 

本来のないものを本来のものにした

本当ではないものを本当のものにした

真でも何でもないものを真のものにして

愉しむことを忘れ、シリアスになり

自作の世界で自滅する

 

「人間とはそういうものじゃないか」

「世の中はそういうものじゃないか」

「そういうもの」と言うのは飛躍している

飛躍の好きな者がいる

自由を奪う者がいる

 

 

べきねばならない

 

便利な言葉であったとしても

扱いには慎重さを要する

その慎重さは真っ当な恐れであり

存在としての私を守る

 

容易く言うな、「べきねばならない」と

副作用はとてつもない

じわじわと侵入し

自覚症状のないまま口を衝く

 

容易く言うな、「べきねばならない」と

私も私の世界も狭くする

吐く度に症状は進行する

まずは心、次に現実、体という具合に

 

容易く言うな、「べきねばならない」と

心の中であったとしても

それは巧みな仕掛け

正義や良心と似た見せかけの光に潜んでいる

 

容易く言うな、「べきねばならない」と

対極にいる者が狙っている

それは心を明け渡すということ

私を差し出すということだ

 

 

空白

 

恋人がいても時間がなければ会えない

仕事があっても時間がなければできない

お金があっても時間がなければ意味がない

時間は命とも言える

 

時間は豊かさの上位にある

それでも私は耐えられない

お金はいくらでも欲しい

時間は違う

 

物語を生きる私は空白に耐えられない

物語とは意識の世界、観念の世界

人間が与えた後付けの情報

価値、意味、例えばあるべき姿

 

あるべき姿を生きる青年の私は

モラトリアムに耐えられない

あるべき姿を生きる老人の私は

退職後の自由に耐えられない

 

空白を前に物語を生きる私は落ち着きを失う

疚しさまでも感じている

存在の世界で私は自由で

意識の世界で縛られる

 

空白の中で落ち着きを取り戻す時

私の意識は存在の世界に帰る

存在の世界、そこは私の故郷

私は物語の住人から自然界の住人に帰る

 

 

進化論

 

確かに理由はあった、必要に迫られていた

それでもそこにはなかった

ないところに私はルールを置いた

初めての掟破りだったのかもしれない

掟とは良心の事

私は事実、現実に背いた

 

「ない」という事実、現実に背いた行い

私は薄々気づいていたのだろうか?

自分の僅かな行いが世界を変えてしまう事に

私は目を瞑ったのかもしれない

その行いは強引で暴力にも似ていた

元々「ない世界」に強制力を与えたのだから

 

慣れるのも大変だったに違いない

ルールの外がいつもの世界で

中は仮想世界に過ぎない

自作とはいえ、ひとまず受け入れたとはいえ

自由な私が縛られるのは

奇妙な感覚だったに違いない

 

それでも子どもがごっこ遊びをするように

訳もなく慣れてしまったのだろうか?

役を演じるうちに役に入り込んだ

いつしか夢中になっていた

自作である事も

ひとまず受け入れた事も忘れていた

 

そして何と!

外側が消えていたのだ

没頭するうちにいつもの世界が消えていた

何という信念の強さ!何という適応力!

世界は内側の世界一つになってしまった

私は役そのものになっていた

 

さらに進化した

それは独自の進化

ルールに使われた

自作の道具が私の主人になったのだ

私はあらゆる奴隷になった

時間、お金、習慣、伝統の

 

ルールは暴走した

自分の領域を勝手に拡げてしまった

ある種の振る舞いを越えた振る舞いに

そして遂には心の中にまで

それ以上に驚いたのは

私がそれを受け入れた事かもしれない

 

「べき」「ねばならない」

あるべき姿

今度は実在しない観念が私の主人になった

あるべき姿から外れた私は

自己否定するようになった

私は力を失い始めた

 

ルールが暴走したりするのだろうか?

私の中にいる者が

虚構と幻影を見せたに過ぎない

見せただけでは済まない

私の心から自由を奪い

ありのままの私を奪ってしまったのだ

 

私は忘れてしまった

ルールの中身

自作だった事

役者だった事

外側の世界

私は全部忘れてしまった

 

 

一筋の光

 

世間の足音がする

身を守るように私は遮った

それでも透ける明かり

漏れる光

 

抜け出せない、やめられない

あいつが悪い、環境が悪い

自業自得

もう遅い、私だけ

 

社会人として、男として、女として

何十代でしておくべきこと

他人や社会からの要求

誰かの価値観、あるべき姿

 

私のような誰かの作り物

所変われば変わり、時が変われば変わるもの

それを変わらないものにしたのは私

受け入れたのも私、そこから外れたのも私

 

守るべきものだったのか?

守るべきは社会のルール

ある種の振る舞い

心の中に引き受けたのはなぜだろう?

 

私には良心がある

それでもそこにあるのは

「べきもの」でもなければ

「ねばならないもの」でもない

 

心の中に引き受けたのはなぜだろう?

必要以上に受け入れたのはなぜだろう?

自分を苦しめたのは

誰も教えてくれなかったのは

 

「べきもの」ではないものを

「べきもの」と見たのは

「ねばならないもの」ではないものを

「ねばならないもの」と見たのは

 

何かが私を閉じ込めた

事実とは別の物語に

光も広がりもない部屋に

往復するだけの狭い世界に

 

それでも透けている、漏れている

光はそこにある

遮っているのは私だ

私とは別の、私の中の何かだ

 

 

ないならないなりに

 

テレビを見ないなら見ないなりに

新聞を読まないなら読まないなりに

本を読まないなら読まないなりに

ないならないなりに成長する

 

ある時とは別の成長をする

常識では測れないだけで

今は知らないだけで

意図の届かないところで成長する

 

この世界は進化そのもの

私はこの世界の子ども

留まることはできない

後退もできない

 

家族がないならないなりに

仕事がないならないなりに

友達がないならないなりに

お金がないならないなりに

 

ただ失った訳ではなく

何もしていない訳ではなく

常識では測れないだけで

今は知らないだけで

 

ないならないなりに成長する

私はこの世界の子ども

留まることはできない

後退もできない

 

 

宇宙人

 

今日も目が覚めた

この世界を生きる許可が出た

今日はどんな仕事をするのだろう

私とこの世界にどんな経験を重ねるのだろう

 

それにしても眠りは凄い

とても軽い!

蓄積したものが消えている

私は眠りの世界で何をしたのか

 

時計の針が世界を換えた

自然界から社会へ、宇宙から日常へ

労働の中で私は消えた

自然界からも宇宙からも

 

草木や鳥の多いこの街でも

私には自然が見えない

太陽が燦燦としても白い月がそこにあっても

私には宇宙が見えない

 

昼と夜の間

私は自然界へ帰って行く

明るいようで暗いオレンジと

強いようで儚い赤に誘われて

 

空が夜で埋め尽くされる頃

星たちが姿を現わし、宇宙になる

夜風が宇宙の風に、静けさが宇宙の沈黙に

虫の音が命のサインに、私は宇宙の一員に

 

 

似合わない

 

大宇宙で遠慮する

大宇宙で卑下する

大宇宙で諦める

 

大宇宙でふるいに掛けられ

大宇宙で粗末にされ

大宇宙で惨めになり

大宇宙で悲しくなる

 

宇宙創世から戦い続けた

生まれる前も生まれてからも

あっちであればあなたはいない

そんな数多の岐路をくぐり抜けた

気づけば無敗、存在の奇跡

人智を超えた宇宙の歴史すべてを抱えて

あなたは今、歴史の先端に立っている

 

そんなあなたが遠慮する

そんなあなたが卑下する

そんなあなたが諦める

 

そんなあなたがふるいに掛けられ

そんなあなたが粗末にされ

そんなあなたが惨めになり

そんなあなたが悲しくなる

 

 

さすらい

 

根っからの旅人です

生涯旅をします

瞬間の中で初めての場所を訪れます

私に二度目はありません

帰る場所はありません

 

私は地球に乗って銀河を旅します

太陽や月、仲間の天体と一緒に

銀河も私を乗せて宇宙を旅します

私はずっと宇宙を旅しているのです

「漂流している」と言っても構いません

 

太陽が東から昇って西へ沈みます

同じ場所に戻って来てまた一日が始まります

一年が過ぎて

同じ場所に戻って来てまた一年が始まります

それは不可能なのです

 

「何年に何度目の」はありません

彗星も日蝕も月蝕も

ニュースにならない日もそれっきりです

成人式だけが一生に一度ではなく

この瞬間も一生に一度なのです

 

私は流れます

後戻りを知らない流れです

もう一回を知らない流れです

停止を知らない変化です

それを知っているのは私の思考と感覚です

 

屁理屈、非常識、何でも結構です

生まれて来られた特権を行使したいだけです

人間の物語を離れて旅を楽しみたいだけです

それを可能にしてくれるのは何の変哲もない

解釈の少ない事実です

 

 

暮らし

 

気づかない優しさ、気づかない強さ

手を引いてくれた母

気づかない強さ、気づかない優しさ

繋いでくれる地球

 

母のような引力のような

大気のような水のような

言葉のない愛情、優しさ、豊かさ

生命、地球、宇宙、世界

 

日常で、馴染んでいて、そのもので

それでも大袈裟に感じている

その言葉に違和感を覚えている

存在はそこにあっても意識はどこかにある

 

生きることがどれほど過酷なことか

私たちは忘れてしまったのかもしれない

天体に生きている、その事実さえも

いや、初めから知らないのかもしれない

 

宇宙の子ども、地球人

平凡な暮らしがどこに

代わり映えしない日々がどこに

「私には価値がない」と言う者がどこに

 

子どもたちの声がしている

オハヨウ

サヨウナラ

イッテキマス

 

タダイマ

イタダキマス

オイシイネ

アリガトウ

 

 

天体

 

待ちに待った連休

予定はすべて埋めた

行ったことのない所へ行く

できるだけ遠くに、できるだけ新しい所へ

私の目は釘付け

テーマパーク、リゾート、レジャーに夢中

 

私は幸せの形を追いかけた

私の存在は広大な宇宙に生きても

私の意識は手狭な物語を生きている

私には実在する世界が見えない

天体に生きている事実が見えない

そんな私は夜空を見ない

 

プラネタリウムと同じか

プラネタリウムよりもつまらない

私には名前と物語の付いた星座

実体がないかもしれないその命の面影は

私には見えないのだ

私の意識の外側で太古の光が消え残る

 

 

日常

 

青い空、ギラギラした太陽、白い月

職場はその間

私は地球の営業マン

 

金星は「明けの明星、宵の明星」と呼ばれる

火星も水星も木星も土星も、実は見える

それでも遠い天体

 

金星の日はウキウキする

土星の日と太陽の日はみんなが大好きで

月の日は少し憂鬱になる

 

火星の日は散髪屋の定休日

水星の日はスーパーの特売日

木星の日は歯医者の休診日

 

太陽と月と金星は馴染みがある

火星も水星も木星も土星も、実は身近にある

それでもやっぱり遠くにある

 

 

ここはどこ 私は誰

 

「どこにいるのだろう?」

と言っても基準がなければ分からない

全体が分からないのだから

基準を作ることもできない

私はこの宇宙のどこにいるのだろう?

 

どこから来てどこへ行くのだろう?

ここにいるのはなぜだろう?私は誰だろう?

どこから来てどこへ行くのだろう?

私もあなたも地球も世界も

生まれること、生きていること、死ぬこと

 

科学は答えてくれるのか?

単純で肝心なことが分からない

それでも私は心得顔

「分からないことは気味が悪い」

とまで言ったのだ

 

私には良心がある、それでもそこにあるのは

「べきもの」でもなければ

「ねばならないもの」でもない

私には信じられない、口を衝いて出るほど

「べき」「ねばならない」はあるのか?

 

何も分からない私とこの世界に

絶対的なそれが存在するのか?

「べき」「ねばならない」を

見るのはなぜだろう?

必要以上に受け入れるのはなぜだろう?

 

私の何がそうさせるのか?

見るべき、知るべき

読むべき、驚くべき

ああ、また言っている

度が過ぎる

 

 

リンチ

 

品格を相手に求める時

それは品格のある行いとは呼べない

「道徳的であれ」と相手に求める時

それは道徳的な行いとは呼べない

 

私の良心を利用し、支配の手段に使ったのだ

「本来はすべきだったのではないですか?」

「本来はあってはならないことです」

「本来はしなければなりません」

 

そこにあるのは良心に見える

それでも動かすものは違う

抑え付けたい

支配したいという欲求に過ぎない

 

そこにあるのは道徳に見える

それでも動かすものは違う

事実とは別の

自明に隠れた嘘に過ぎない

 

本来のないものに

「本来は」と言った

「べき」「ねばならない」から外れたものに

「べき」「ねばならない」と言った

 

本来とは何か?

「べき」「ねばらない」とは何か?

自我になった私が

自分の「間違い」に目を向けたりはしない

 

嘘を吐いてまでも支配したいのかもしれない

意識の届かないところで私は裁こうとした

裁判官でもない私が

法を犯した訳でもないその人を

 

 

真実

 

真実には注意が要る

真実という言葉を吐きたがる心には

その心は支配的傾向が強い

都合のいい真実を見てそれに気づかない

つまり幻影を見ているのだ

 

他の者になれない者が

すべての視点を持たない者が

真実など知り得ようか

神でもない者が真実を知り得るという

その傲慢な心には注意が要る

 

私たちには丁度いい言葉がある

事実という言葉が

真実には注意が要る

事実を捻じ曲げてまで吐きたがる心には

自覚のないその心には

 

 

理屈を生きる

 

実体に存在するのか?

「何々主義」「何々イズム」が

「何々主義」「何々イズム」が

実体にしているのか?

 

実体を動かしているのか?

現実を、世界を

人間だけで作り得るのか?

人知を超えた命の繋がりがなくても

 

理屈の美しさに魅せられた

世界情勢を分析する専門家の

その巧みな語り口にうっとりした

私は実体のように理屈を見ていた

 

「科学的根拠はあるのですか?」

得体の知れないものにすぐさま反論した

私の科学は完成品

科学的根拠がないだけで退けた

 

私は医学でできている

いや、医学をはみ出している

私は自然の理屈でできている

それでも意識はヒトの理屈でできている

 

 

名前

 

「枝」と言った時に分離した

枝でないものが枝になり

枝とその他になった

名前を付けた途端に分離した

繋がりのあったものが切れた

 

実体から離れ、事実から離れ

嘘になった

それでも気にならない

私は分離に慣れていて

不実を事実とすることに慣れている

 

嘘を嘘と知る必要がある

名前も実体を解釈するための理屈も

実体とは違うのだと、現実とは違うのだと

私にはその強い自覚が要るのだろう

さもなければ信じた世界を生きる

 

名前も理屈も実体とは違う、現実とは違う

それでも気を落とすのは可笑しい

過不足なく表現できないだけで

把握できないだけで

実体も現実もここにある

 

 

本来のもの

 

「本来の日本語からすると間違っている」

 

エゴは言葉を本来のものにした

エゴは常識を本来のものにした

エゴは科学を本来のものにした

 

エゴはレールを本来のものにした

エゴは肩書きを本来のものにした

エゴは価値を本来のものにした

 

あらゆる可能性を排除して私は絶対化する

私が絶対化などする訳がない!

それでも私は言っている

 

「低俗だ、高尚だ」

「誰がそんなことを言っているのか?」

「誰が?」

 

 

役者

 

女として、男として

親として、子として

学生として、社会人として

第二の人生を生きる者として

 

一家の何として

組織の何として

何十代を生きる者として

人として、何として

 

役割を肩書きを演じる

与えられたそばから熱演する

役であることも

不確かなそれであることも忘れて

 

ラベルをレッテルを生きる

原因不明の何かでも実体に及ばぬ何かでも

不明の何かに与えられた仮の名前でも

私は名前を生き始める

 

不確かな何かでも

「そういうものだ」と

人生のレールを幸せの形を確かなものにする

自我は私を虚構の世界に閉じ込めた

 

私は気づかない

はみ出した私は疚しさを感じ、劣等感を覚え

惨めになることさえできる

それがいかに強力で幻惑的かを表している

 

不確かなものを確かなものにして

細胞は見事に演じ切る

役者であることも物語であることも忘れ

細胞は作中で生涯を閉じる

 

 

閉鎖

 

ルール、しきたり、主義、教え

あらゆる価値が示している

いかに絶対化しやすい生き物かを

 

あらゆる集団が

設えものが示している

いかに保持しやすい生き物かを

 

自作の世界に私を閉じ込めた

自作の世界を絶対化し

自作の事実を消し去った

 

自分を閉じ込めた世界

私はそれを頑なに守り始める

あたかもそれが私自身であるかのように

 

設えものを強化し

真のものにし

正義にしさえする

 

私はいよいよ固く閉ざしてしまう

帰属するものを決して譲らない

愛郷心のようなものがさらに事を複雑にする

 

愛する心は倒錯的になり、排他的になる

それは行き過ぎた個人の自己愛と似ている

相手の影を育て殺しさえする

 

私は気づくのだろうか?

設えものを本来のものにする

エゴの企みに

 

この世界のあらゆる問題が示している

問題はヒトなしにはあり得ないことを

自然は元々調和の世界であることを

 

私たちは固く閉ざした世界を飛び出し

私たちにしている

繋がりの事実を生きる時に来ている

 

 

問題

 

1万メートル下、10万メートル下

海の底、奈落の底、そこは大丈夫か?

ここは広い世界、繋がりの世界

私と無関係ではないのだ

 

1万メートル下、10万メートル下

土の中、高熱の岩、そこは大丈夫か?

ここは広い世界、繋がりの世界

油断はできない

 

地殻は大丈夫か?

マントルは大丈夫か?

地軸は大丈夫か?

足元は大丈夫か?

 

大気圏は大丈夫か?

宇宙空間は大丈夫か?

光年先は大丈夫か?

頭上は大丈夫か?

 

重力は大丈夫か?

時空は大丈夫か?

原子、分子、ミクロの世界

そこは大丈夫か?

 

そこに何かあっても何もしてやれない

私は無力な存在

いや、存在は強力だ

だから私は存在している

 

私の周りにあって遠くにないもの

問題はとても奇妙だ

1万メートル下、10万メートル下

そこに深刻さがあるのか?懸念があるのか?

 

確かにそこには懸念がある

そこにある問題が私たちを揺さぶりかねない

それでも今日のニュースが、巷の問題が

どれほど私たちから離れているのだろう?

 

まるでこの世界は一つの生命体

調和の世界

私は何をしているのか?

「問題だ、深刻だ、油断はできない」と

 

存在は強力だ

世界が私たちを存在させるのだから

太陽のように私たちの存在は正しい

狂っているのは私たちを支配する方

 

問題があるのは私たちの周り

存在に及ばぬ考え、行い、感覚、意識

肉体を纏うと同時に纏ったそこにある

エゴの方にある

 

 

影法師

 

一体になろうとしなくても

すでに自然じゃないか

感じようとしなくても

すでに自然じゃないか

 

自然でなければ何だろう?

自然でないものがこの世にあるのか?

すでに自然じゃないか

細胞、体、心、私の存在

 

自然じゃないのは

考え、行い、感覚、私の意識

考え、行い、感覚、意識

それさえも自然じゃないか

 

自然でないものがこの世にあるのか?

あるとすれば私のこの考え

「あるとすれば」という

ないものをあるものにする私の考え

 

一体になろうとする、感じようとする

自然と一つになろうとする

私の考え、私の行い、私の感覚

私の意識じゃないか

 

自然でないものがこの世にあるのか?

それでも遅れている

考え、行い、感覚、意識

それらは存在から遅れ、存在から離れている

 

私は社会に生きている

あたかも自然界とは別の社会に

存在は事実を生きても

意識は事実を離れている

 

 

化け物

 

「私の車」と言う時も

「私の命」と言う時も違いがない

そこに潜んでいる

 

私の命とは何だろう?

命なしに私はあり得ない

私と命は一体のものなのだから

 

「自然はいいね」

「自然は素晴らしい」

「自然を相手にするのは大変だ」

 

無機質な人工物も最先端のテクノロジーも

すべてが自然の子ども

それでも離れている

 

私の中にいる者が

切り離せないものから私を切り離した

いや、切り離せない

 

切り離されて生きてはいられない

命からも自然からも

私を意識の上で切り離したのだ

 

切り離された私が奪った

命からも自然からも分離した私が

命を奪った、自然を奪った

 

宇宙空間にさえも手を出そうとした

まるで化け物、異物

進化の途上にある克服される矛盾状態

 

身を潜める者がいる

私の中に、人類の問題に

エゴという言葉に

 

そこに潜む私のエゴが

切り離せないものから私を切り離した

そして私になって仕事をした

 

 

エイリアン

 

既知の脅威に怯えて

未知の脅威に気づかない

見える脅威は存在して

見えない脅威は存在しない

身近な脅威に晒されて

遠くの脅威から守られる

 

未知なるものの確かな営みで

今も世界は存在し

地球も私も生きている

それでも私は知らない

繋がりの世界に生きていることも

人知を超えて生きていることも

 

存在は意識とは無関係にすでにここにある

意識は存在に依存しながら

実在しないどこかにある

私はガタガタと震えている

身近な脅威に晒されて

遠くの脅威から守られて

 

 

この辺り

 

歴史の話は退屈です

同じような時代の同じような話ばかりです

この辺りの話ばかりです

この辺りしか知らないから当然です

 

知っていることだけで話すから当然です

それでも錯覚します

この辺りでできているように

この辺りで生きているように

 

私の存在は広い世界に生きています

繋がりの世界に生きています

それでも意識は狭い世界に

途切れた世界に生きています

 

思い入れの強さが、させるのかもしれません

私はこの辺りに執着します

いえ、そもそも意識はこの辺りだけです

私のルーツはあたかもこの辺りです

 

この辺りで歓びます

この辺りで関わりがないと錯覚します

この辺りで排除します

この辺りで殺します

 

ルーツは途切れません

縦にも横にも斜めにも

全く途切れるものではありません

それでも私のルーツは途切れます

 

 

ルーツ

 

私には想像力という特殊能力がある

肉眼では捕えられないものが見えて

ここではないどこかへも行ける

この特殊能力はまさにこういう時の為にある

私のルーツ

 

親、祖父母、親戚、親族

家系図を越えることは簡単

国境を越えた、人種を越えた

人類の起源、生命の起源、地球の起源

どこまでも遡った

 

私のルーツも他のルーツと繋がった

「純血」「優秀な血筋」「由緒正しい家系」

都合よく切り取られた部分

切り取ることのできない全体の一部

切り取られて存在できない幻

 

幻が残っていられるのはなぜだろう?

力を持っていられるのはなぜだろう?

誰かよりも優れていなければ認められない

「誰かよりも」を付けなければ認められない

特有の性質がある為

 

切り離せないものから意識の上で切り離し

意識の上で繋がりを断ってしまう

特有の性質がある為

終わりのない虚構と幻影に眠る

特有の性質がある為

 

だから残っていられる

都合よく切り取られた部分でも

存在できない幻でも

事実ではない不実でも

大宇宙に生まれた私たちを支配していられる

 

 

トマト

 

私は音楽です

奥底で響くあのメロディーです

私は言葉です

あなたがくれたあの一言です

私はあなたです

私にくれたあなたとの日々です

 

私はトマトです

あの日に食べたあのトマトです

私は雨です

畑に落ちた適量の水蒸気です

私は土です

あのトマトにした知恵の結晶です

 

私は友人です

あのトマトを育てた同級生です

私はおばさんです

友人の優しいお母さんです

私は繋がりです

あのトマトにしたすべてです

 

私はトマトです

ヨーロッパから来たあのトマトです

私は船です

インド洋を経由したあの運搬船です

私は麻糸です

キャラック船のあの帆です

 

私はアンデス地方です

遥か昔のトマトの原産地です

私は青年です

誇り高い遠い異国の農夫です

私は太陽です

高原に降り注いだ水素の結晶です 

 

私は何かです

トマトの種となった何かです

私は山です、海です、風です

途切れることのない

理解も知覚も及ばない

時空を超えたすべてです

 

 

そこにある

 

華やかな式典、世界が注目した

前代未聞、前人未到

世紀の大発見、世紀の大発明

 

発見、発明

そこにあるものを見つける、明らかにする

言葉は事実をよく表した

 

知られようと知られまいとそこにある

法則も可能性も

まだ見ぬものがそこに

 

ざわめきとは無縁に仕事をする

だから私はここにいる

だから世界は拡がり進化する

 

 

さりげなく

 

語れば語るほど

断言すればするほど嘘になる

自然のように世界のようにありたい

自然は、世界はさりげない

黙々と自分を生きている

存在も行動も仕事も一致している

それでいて完璧で

それぞれが完璧な仕事をする

だから停止しない、生きている

繋がりとして生きている、進化する

 

私はあからさま

こんなにできる

あの人よりもできる

凄いだろう?

見てくれ、認めてくれ

これでは足りない割に合わない

こんなものも見つけた

あんなものも明らかにした

私はとても喧しい

その上、他の誰かになりたがる

 

生きている私のようにありたい

存在としての私はさりげない

黙々と自分を生きている

存在も行動も仕事も一致している

それでいて完璧で

それぞれが完璧な仕事をする

だから停止しない、生きている

繋がりとして生きている、成長する

私を作る細胞や微生物のこと

生きている私のこと

 

 

 

ブツブツ言わずにいられない

語気を強める

心配だ、大変だ、敵わない

気をつけないと

 

「べき」「ねばならない」が口癖

自分の話をする、べらべらする

それでも喜ばせることはできない

元気づけることもできない

 

声に出なくても喋る

頭の中で四六時中

他人に話すことと同じ

自分を喜ばせることができない

 

何を話しているのか分からなくても

壁越しでもトーンだけでも不愉快にさせる

怒り、悲しみ、恐れ、後悔

負の感情からの言葉

 

色んな声で喋る

それでも子どもの笑い声が出ない

「くくく」と冷笑する

それは自我の声

 

子どもの笑い声を上げることがある

基本的に穏やかで寡黙で存在感がない

それでも存在そのもの

それは存在としての私の声

 

 

無知

 

37兆とも言われる細胞

100兆を越える微生物

その正体と仕事

心の在り処

イシキの仕組み

 

イシキが脳細胞から生まれるとすれば

水やタンパク質、脂質や核酸や糖の塊が

どうして私の世界を構築できるのか?

骨、肉、筋、皮膚、神経、臓器

起きていること、生きていること

 

分からない

支配などできていない

なぜか生きている

まるで他人事

それでも事実

 

心臓は鼓動し、私は呼吸する

理解と意図を越えたところで私が生きる

それでも「私がしている」と思っていた

どうやって生きているのか分からない

それにもかかわらず

 

私の何かが思う

私がしている、知っている

支配していると

思い通りにできる

思い通りにしていると

 

 

思いを越えたわたし 思い通りのワタシ 

 

私が生きている

生きているところに私がいる

私が生きている

私の思いを越えて

 

思いを越えている

それは完全な超越

私の理解や発想

人知さえも超えた

 

私の存在は思いを越えている

それでも思い通りにしたがる私もいる

思い通りにしたがる私はよく怒る

思い通りにならない時にも私は怒る

 

私の中に2人の私がいる

思いを越えたわたしと思い通りのワタシ

思いを越えたわたしは大人しい

影が薄い、それでも存在そのもの

 

思い通りのワタシは五月蠅い

圧倒的な存在感、それでも存在感に過ぎない

それどころか存在を脅かそうとする

私の意識の下で

 

思い通りのワタシは思っている

何でも思い通りにできる

思い通りにしていると

理解を越えたこの命まで支配していると

 

自分がしていると思っている

思い通りのワタシは知らない

思い通りのワタシになった私は知らない

影の薄いわたしを、存在としてのわたしを

 

 

怒りと私

 

理解を越え、意図を越え

思いの外に生きている

それを知る私が

「思い通りにならない」

と騒いだりはしない

 

同調して騒ぐこともできる

怒りの感情になることも

騒いでいる者と一体化しつつも

思い通りになることなど

ほとんどないことも知っている

 

思い通りにならない

それでも細胞は生きている

それでも人生は展開し

現れた出来事から受け取り

私は成長する

 

騒ぐには知り過ぎてしまったのかもしれない

「思い通りにならない」と言う者

現れる怒りの感情と思考

私とそれらに切れ目が入り

同調に終わりを告げる

 

 

見ている私

 

今を生きる人は先人よりも進んでいるのか?

「我思う故に我あり」

と言ったあの先人よりも

私たちはやはり進んでいるのか?

 

イライラしている

クヨクヨしている

疑っている

この私は何だろう?

 

イライラする私の後ろに

クヨクヨする私の後ろに

疑っている私の後ろに

私を見ている私がいるのだ

 

怒ろうが、悲しもうが、疑おうが

「それがどうした?」とでも言うように

それでも虚勢を張るのではなく

ただそこに佇む存在としての私がいる

 

怒りでも悲しみでも疑いでもない

現れる負の感情でも思考でもない

私は生きている

存在としての私に過ぎない

 

 

悲劇

 

私には病がある

名もない深刻な病

あるいは深刻になりたがる病

 

黒一色でなければならない

黒一色に染めたがる私は言った

「何もかもがダメ、全然違う、最低最悪だ」

 

黒一色に染めたがる私は嘘吐きで

事実を飛躍させる

白があるにもかかわらず相手にしない

 

問題はこの嘘吐きを容認する私もいること

容認だけでは済まない

嘘吐きと同調し、同調が進めば同化する

 

あるものを見ない

受けている恵みを認めない

大袈裟に深刻になろうとする

 

優位に立てない私は

惨めになることで特別になることもできる

「何と可哀想な私か」と自己承認しさえする

 

黒一色に染めたがる私は私で

私とも違う

私は黒一色に染めたがる私を見ている私

 

どちらにもなれる

同調して悲劇のヒロインにもなれる

離れて見ている見物人にもなれる

 

 

無意識的倒錯的

 

自己愛は訴える

「私が可哀想だ」と

だから私は怒る

悲しむ、惨めになる

 

自己愛は訴える

「私は弱い、守ってやらねばならない」と

だから私は億劫になる

頑なになる、動けなくなる

 

自己愛は訴える

「不味いことになりそうだ」と

だから私は焦る

苛立つ、不安になる

 

自己愛は訴える

「私はずいぶん損なわれてしまった」と

だから私は回復しようと非難する

相手を否定することで自己肯定する

 

自己愛は訴える

「私が可哀想だ」と

だから私は投げやりになる

「好きにしてくれ(どうでもいい)」と

 

自己愛は訴える

「私はとても弱っている」と

だから私は嘆き、ぼやき

「私を癒せ」と訴える

 

自己愛は訴える

「私はとても深い傷を負った」と

だから私は恨む、妬む

いつまでも持ち続ける

 

自己愛は訴える、私の無意識で

だから私はなすがまま

それでも事実、そこまで私は弱くない

私はそのことも知らない

 

いや、どこかで知っている

その自己愛のこと、自我のことは

だから私は卑下する、自己嫌悪に陥る

「何と可哀想な私か」と自我を呼ぶ

 

「私を愛している、愛している」と訴える

だから私は思う

「あの人のあの言動が気に入らない

(私と同じであれ)」と

 

大袈裟に深刻に神経質に

そして倒錯的に

自我の愛は歪んでいる

だから私は苦しくなる

 

 

自己愛

 

「過ぎたるは及ばざるが如し」

過ぎても足りない

過剰は不足を意味している

過剰な自己愛は寧ろ私を奪う

 

あまり疲れてはいけない

余裕がなくてもいけない

あまり遠慮するのもいけない

自己犠牲は最もいけない

 

「私が可哀想だ」

と太り始める

際限なく膨れ上がる

自己愛は盲目的になる

 

私を守ろうと怒る

私を守ろうと恐れる

私を守ろうと億劫になる

私を守ろうと頑なになる

 

終いには相手を下げる

相手を下げてまで自分を上げる

私が批判ばかりするのは

私の無意識、多分自己愛から来ている

 

幻まで見せる

「あいつのせいでこんなになった」と

「取り戻さなければならない」と

事実を飛躍させてまで私を守る

 

あまり怒ってはいけない

ブツブツ言ってもいけない

あまり恐れてもいけない

億劫になってもいけない

 

頑なになってもいけない

許せなくてもいけない

認められなくてもいけない

素直になれなくてもいけない

 

あまり焦ってもいけない

あまり嘆いてもいけない

惨めになってもいけない

自己嫌悪になってもいけない

 

「いけない」と言ってもいけない

頭の中で言ってもいけない

「それではどうしろと言うのか!」

あまり飛躍してもいけない

 

思い通りに拘ってもいけない

自己愛は過剰になる

悦びがある、穏やかさがある、気楽さがある

そこで自我は太れない

 

 

擁護

 

怒るのが当然じゃないか

悲しむのが当然じゃないか

恐れるのが当然じゃないか

深刻な事態なのだから

それが人間じゃないか

感情のない人間など人間じゃない

 

私は話を飛躍させた

 

感情はコントロールできない

それができればやっている

できないから苦労するんじゃないか

そんなのは無理だ、できる訳がない

 

私はすぐさま撥ね付けた

自我の代わりに言い訳をした

 

科学的根拠はあるのか?

誰がそんなことを言っているのか?

 

奪われているにもかかわらず

私は擁護した

私は自我を知らない

 

 

誰も知らない

 

生き血を吸う者にも違いがある

己を知る者は弁え、知らない者は奪い尽くす

それは寄生虫であることを知らない寄生虫

悪性細胞と似ているのかもしれない

 

彼らは知らない

太るほど痩せることを

奇主なしに生きられないことを

奇主の存在を

 

それは私の自我と似ている

負の感情と思考を通して私に苦しみを見せる

私が苦しみに同調する時

自我は太り、私は痩せる

 

自我はまさに自我そのもので

欲望のままに暴食する

そして完食する頃に消えていなくなる

何も知らずに自我も私もいなくなる

 

自我は知らない

太るほど痩せることを

奇主なしに生きられないことを

奇主の存在を

 

私は知らない

同調するほど痩せることを

自我になってしまうことを

自我の存在を

 

 

狭くなる

 

焦り、怒り、恐れ、悲しみ

私が負の感情に支配される時

私から広がりはなくなる

軽やかさがなくなる

私は狭くなる

 

私は心が狭いのだろうか?

いや、狭くするものがいる

エゴが膨れ上がる時

その分私は狭くなる

私の心、私の感覚、私の世界、私自身

 

私は周りが見えなくなる

繋がりが見えなくなる

力が入る

縮こまる

 

エゴが膨れ上がる時

そこに広がりはない

軽やかさはない

私は狭くなる

 

 

裸木

 

今年も裸になる

毎年、裸になる

裸になることは知っている

子どもがそこで遊ぶのだから

 

窓の向こうにその木はある

ウグイスの声がする茂みの向こうに

その木の名前を私は知らない

服を纏うところを見たことがない

 

私の存在は開いている

可能性と自由な世界は広がる

それでも意識は閉ざしてしまう

私は狭い世界を生きる

 

保守的という言葉は相応しくない

拡がる世界で私は閉ざすのだから

見える目は持っている

視野に問題のない目は

 

それでも見えない

閉ざすものがいる

私が同調するほど

自我は私の世界を狭くした

 

窓の向こうにその木はある

ウグイスの声がする茂みの向こうに

その木のことを私は知らない

服を纏うところを見たことがない

 

 

 

酒に呑まれる

タバコに喫まれる

ギャンブルに狂う

 

暴食する

妄信する

自傷する

 

薬に溺れる

色に狂う

魔が差す

 

毒のようなものがある

私の欲求、信念、行動、習慣

どれもが自滅の要素を孕んでいて

優勢と劣勢は定まらず奇妙に揺れている

 

まるで私自身が善悪、光と影

極め付きは悪性細胞かもしれない

それはすべてを奪うように見える

それでも部分に対するものかもしれない

 

全体に対するものがある

感触のない薄皮のように私に貼り付き

意識の下で丸ごと私を奪うのだ

私には毒がある、自我という先天性の毒が

 

 

幼子

 

手足は悦びのままに遊ぶ

「べき」「ねばならない」がない

感情と振る舞いが一つ

心と体が一つ

 

他を知らない

私を知らない

分けることを知らない

一つを生きている

 

自然そのもので、世界そのものを生きている

「べき」を付けるのは相応しくなくても

敢えて言いたくなる

「大宇宙に生まれた者、そうあるべきだ」と

 

美しい時は束の間、意識は分離を始める

自分を生きるようになる

「こんなにできた」

とアピールするようになる

 

比較の中で自分を知る

意識の中で繋がりが途切れる

孤独を感じるようになる

苦しみの始まり、もう大人の仲間入り

 

 

 

命を頂いて生きている

ということだろうか?

ヒトが持って生まれた罪とは何だろう?

「自然から学びなさい」

かつての聖者はそう言ったという

 

いつものように向かいの犬は走り回り

庭のチューリップは風に揺れ

太陽は燦燦としている

彼らは彼らに見える

100%の自分で今に生きている

 

私は誰かの理想像、あるべき姿

今の私ではない他の誰かになりたがる

時流、普通

他人の視線が気になる

それになろうとさえする

 

体はあってもここにない

意識は過去と未来

ここではないどこかを

まるで迷子のように行き来する

それでも私は気づかない

 

持って生まれた罪があるとすれば

今にしか生きられない私が今にいない

私でしかいられない私が

私ではない

私のこの在り方かもしれない

 

持って生まれた罪があるとすれば

エゴのことかもしれない

エゴがもたらす苦しみになすがまま

私はエゴを知らぬまま

深い眠りに就いたまま

 

 

接するには

 

睨みつけても

怒鳴りつけても

ブツブツ言っても

狙いは外れて私に返っている

私は意識の下で笑われる

 

負の感情から接すれば終わる

わっとなって終わる

悲嘆に暮れて終わる

感染って終わる

喜ばれて終わる

 

腐敗する政治

世の中の理不尽な出来事

負の感情から接すれば消える

解決に向かうはずのエネルギーも

記憶からも消されてリセットされる

 

問題と私

どれほど小さくても接点がある

考えが浮かぶ、できることがある

地球に生まれた私の仕事

本心からの微かな要求を行動に移すこと

 

自我から接すれば終わる

時間がない、お金がない、ないからできない

ないものを見て終わる

思い当たる節があっても言い訳をして終わる

ただ太らせて終わる

 

 

一息

 

他人にするように

もてなすように心に与える

スイマーの息継ぎのように

花に水をやるように

合間に与える

 

私は悦びの力を知らない

自我の扱いを知らない

予定を優先に後回しにする

思い通りにしたがる者の言いなりに

一気に切りのいい所までやりたがる

 

「後で」「切りのいい所までやってから」

思い通りにしたがる者を余所に与える

甘いものに悦ぶなら甘いものを少し

音楽に悦ぶなら好きな一曲を

疲れる前に与える

 

「私が可哀想だ」と膨れ上がる前に

疲れる前に休む

一日の終わりには注意が要る

自我はすぐそこにいる

今にも太り出そうとしている

 

気休めかもしれない

因果関係はなくても

相関関係はあるのだろうか?

口角を少し上げてみる

悦びの場所で自我は太れない

 

 

内なる子ども

 

できるだけゆっくりとできるだけじっくりと

失敗しても相手にしない

予定が変わっても気にしない

思い通りでなくても知らない

焦り始めた時、苛立ち始めた時

塞ぎ始めた時ほど

 

容易く乗らない

じらすくらいで構わない

離れたところから見る

騒ぎ立てる子どもを見る親の視線で

子どもと接するのと似ている

自我を相手にするにはその位の愛情が要る

 

 

残滓

 

君は退屈な顔

私が相槌を打たないから

怒りが湧いても悲しみが蘇っても

一瞥するだけで私は相手にしない

不安や嫉妬心が現れても

それは私でないことを知っている

 

「構って欲しい」

と君が放った感情に過ぎない

悦びから外れた感情というのは

君の臆病なところから来ている

言い換えれば自己愛から

それでも過剰だ

 

過剰であるが故に私は苦しくなる

まるでアレルギー

実体は感覚ほど弱くない

臆病というのは

「私は弱い」という幻に過ぎない

手を施さなくても治るものがある

 

君が寄こした感情を見る

君が寄こした感情と私を切り離し

私の中にいる君の存在を認める

今や残滓

私が君を知った時から

君は小さくなる以外になかったのだ

 

 

静かな世界

 

高い空、澄み切った世界

風になった雲は刷毛目になる

見上げるうちに衛星写真のように

宇宙から地球を見ていた

 

「シーン」と幽かに音がする

音は耳からする

音は耳からしかしない

私はそう思っていた

 

浮かんでは消えた、私の事、他人の事

終わった事、起きるかどうかも分からない事

身近な事、突飛な事

シリアスな事、如何わしい事

 

空想、物語

声のない独り言

止めどない思考の流れ、感情のざわめき

私はその中だった

 

エゴという言葉のイメージは違う

日常に広く、深く影響している

止めどない思考の流れ、感情のざわめき

それに比べれば街の喧騒でさえも大人しい

 

まるで静物画の静けさ

着ている事さえ知らなかった

私は今ヴェールを脱いで、静かな世界に佇み

初めて空を見るように見ている

 

 

風邪

 

どうやってお詫びをしようか

昨日からそれを考えていた

「それでもできる限りはやっておこう」

と続けた

驚いたことに今日の締め切りに間に合った

「不可能だろう」という私の考えと恐れ

それはまたしても現実には敵わなかったのだ

 

私は2、3日振りに解放されて

横になっている

熱は少し下がった

それでも頭は熱く、首から下は寒気がする

私は頭上の小窓を開けた

夜風の下で頭を冷やし、布団を鼻まで被った

真っ暗な部屋から星のない夜空を見上げた

 

冷たい風が気持ちいい

澄んだ空気が美味しい

微かな雨音が心地いい

熱が2、3度上がるだけで

これだけ体は狂ってしまう

なぜか色んな顔が浮かぶ、見たことのない顔

入れ替わり立ち替わり現れては消えて行く

 

どれも泣きながら何かを訴えている

そこにあるのは怒りか、悲しみか

意識が朦朧としているのか

本心の現れなのか

それは私には分からない

それにしても情報は少ないほどいい

真っ暗な部屋、星のない夜空、微かな雨音

 

世界がそこにあってイシキが映し出すのか

イシキが創り出した世界なのか

それは私には分からない

イシキの外には立てないのだから

いずれにしてもそれはどちらでもいい

私は情報の少ない空間で

イシキの世界を愉しんでいる

 

本当に上手くできている

どうしてこんなに馴染むのか

私は地球が吐き出した空気を深く吸い込んで

体の中の熱い空気を吐き出した

抵抗のない重力が私を世界に繋ぐ

体は回復に向かって生きている

世界と私の境目が少しなくなった

 

情報は少ないほどいいものかもしれない

昼間はごちゃごちゃし過ぎて処理できない

バタバタしていて

どこに生きているのかも分からない

思い通りになるかどうか

そればかりに囚われて浮き沈む

世界を味わうにはシンプルなほどいい

 

 

キャッチ

 

来ている

それでも弾いている

受け取ってしまえば

そこから何か変わるかもしれないというのに

 

助けを退ける

頼ることは悪いことだと信じている

私は知らない

恵みの意味もどこから来るのかも

 

恵みは来ている

ヒトの形の後ろから

何度も来ていてそこら辺に転がっている

それでも気づかない

 

やって来ても弾く

弾いておいて

「足りない」

「何もいいことがない」と言う

 

私の恵みは一部に過ぎない

私は思い通りのものしか受け取れない

空き家に届いた手紙のように

来たものは夢となる

 

 

ハプニング

 

「出来事」

という言葉は面白い

出て来た事で

まさに私の状況を表している

予測できるようでできない

私の理解と意図の向こう側から現れる

それは変えられない私の実態

 

私にできる事は気楽に構えて

出て来た事を受け止める

私にとって必要な事は

ハプニングを愉しむ事かもしれない

私はコントロールしようとする

形に予定通りに拘る

思い通りにする事で上手く行くと思っている

 

私は考えを優先しようとしている

実態から離れた私の考えを

「実態よりも考えの方が重要だ」

とでも言うのだろうか?

何と馬鹿げているのだろう

私の思考は実態に合わない

私は現実を知らない

 

 

現実

 

現実は過去

過去の信念、感情、思考、行動の結果

現実が教えてくれる

私の態度が正しいか

私の発想が正しいか

私の習慣が正しいか

 

私は現実のメッセージに気づかない

私は私を変えない

現実が変わるのを待っている

私は現実と闘う

「思い通りになれ」と

「私に従え」と

 

 

逃避

 

備えは必要に違いない

見通すことも懸念材料を減らすことも

同じくらい必要なのは

実態を受け入れることかもしれない

未来は支配できない、その実態を受け入れ

今を生きることかもしれない

 

困るとしても今日と明日は違う

過去からしか学べないとしても

過去と未来は違う

これまでそうであっても次は分からない

前代未聞は当たり前

誰もが初めての今を生きている

 

困るとしても誰もが違う

平均化しても観念に過ぎない

困るとしても観念とは違う

私たちは実在するものであり

存在も事実も現実も、誰もが違う

初めての私たちに過ぎない

 

困るとしても分からない

分かりたくても分からない

どこから来てどこへ行くのか

私もあなたも地球も世界も

どこにいるのか?なぜ生きているのか?

単純なことさえ分からない

 

意識は逃避する

都合のいい現実を見たがる

困るとしても事実を

実態から離れた考えよりも実態を

私たちは実態であり

事実を生きる者なのだから

 

 

知らぬが仏

 

こうしている間も宇宙は拡がる

新しい命が産まれる

新しいものが生み出される

一瞬の停止もなく私たちは成長し

文明も生命も世界も進化する

 

過去からしか学べないとしても

私は過去から学ぼうとする

創り出そうとするのではなく、習おうとする

答えや正しさが既に存在すると思っている

自我は進化を知らない

 

自我になった私は留まる

変化を嫌う

古典や伝統を重んじる

私の存在やあらゆるものが未来へ向かっても

私の意識は過去へ向かいさえする

 

歴史を知っても知ることにはならないのか?

途上にあることは知っていてもまるで他人事

私の振る舞いはあたかも完成品

存在は進化しても意識は進化を知らない

私は鈍感なのかもしれない

 

いや、進化させるものが繊細で優しく

優れている、と言った方が適切かもしれない

私は進化する

抵抗感も違和感も

それが起きていることも何も知らずに

 

 

不調和

 

もっと食べたい

もっと飲みたい

もっと痩せたい

もっと太りたい

 

頭は何がいいか知っている

あるいは知っているつもり

体は完璧に知っている

それでも声がない

 

頭でも体でもない

喧しいのは私の欲求

頭でも体でもない

それでも仕えるのは欲求

 

私はお腹を壊してしまう

吐き戻してしまう

 

「もうダメだ、これ以上はマズイ!」

声のない体と心も遂には音を上げた

「そうは言ってもダメだ、やめられない」

社会人としての自覚と覚悟と責任において

 

体と心を置き去りに私でいられるのか?

それでも私は理屈に許してしまった

その方がまだマシだと

そして私は壊れてしまった

 

欲求が頭と体に調和しない

頭が体と心に調和しない

欲求と頭が私に調和しない

体と心は調和する、調和も何もそれは私

 

 

錯覚

 

生命も世界も文明も

そして当然私の細胞も

すべては進化の中にある

それでも私は動けない

 

細胞はもっと動きたい

それでも鍵を握るのは私

私の自由意志

私の自我

 

体も心も動きたい

体も心も声を持たない

私が聞いているのは自我の声

私の気の重さ、私の恐れ

 

私は自分を知らない、自分を信じない

信じるのは自我の声

私の気の重さ、私の恐れ

私は動けない

 

私は錯覚している

心の声を聞いていると

聞いているのは自我の声

私を奪う過剰な自己愛の声

 

 

ルーティン

 

これをするにはあれくらいかかる

面倒なことになる

これは敵わない

なぜこんなことをしなければならないのか?

 

取り掛かる前はいつも難しい

何もしていない

何も見ていない

何も分からない

 

分からないうちから嫌気が差している

苛立ち始めている

逃げたくなって来る

幻を見て苦痛になっている

 

いずれにしてもやらなければならない

しばらくすれば薄れていた

いつの間にか忘れていた

私は事を終えていた

 

取り掛かる前の気の重さも苛立ちも

私の判断も解釈も、現実とは違う

それでも恐れる時と同じように忘れる

私は何度も忘れ、何度も囚われる

 

 

突き破る

 

先の見えない不安

閉塞感は付きもの

今ここという点状を生きているのだから

難しさを感じる

抵抗感は付きもの

今ここが進化する世界の先端なのだから

 

息を止めて全体重を預ける

跳ね返りを感じながら

それを上回るように押しながら衝いて行く

そして耐力の限界を越えたところで突き破る

何をするにも突破する感覚は付きもの

楽になれるのは解放されたその後

 

私には足りない

それは幻想に過ぎない

完全という幻を存在するように見ている

手持ちの少なさから不安になる

それは幻想に過ぎない

私は今の私で越えるのだから

 

やがて過ぎ去るとしても

またパブロフの犬となるのか?

天才と言われるバッターでさえも

朝飯前で成し遂げた訳じゃない

たとえ天職であっても努力がいる

それでも私は楽にできると思っている

 

私は浅はかで鈍く、なかなか覚えない

歓迎しようじゃないか

突き破るための抵抗なのだから

クタクタになっても私は今夜また死に

あっちの世界で英気を養って

明日にはまた生まれるのだから

 

 

声なきものの声を聞け

 

聞こえている、頭の中の声が

臆病な声、気の重い声

過剰な自己愛の声

自我の声が

 

声なきものの声を聞け

細胞の声を聞け

心の声を聞け

何が悦ぶか聞け

 

生かすものの声を聞け

私にしたものの声を聞け

進化の声を聞け

声なきものが私にしている

 

 

力強いこと

 

過去へは行けない、未来へも行けない

ここではないどこかへも

いつも今ここを生きている

 

順調な時、最低な時

全力疾走の時、眠っている時

中身は変わっても今ここにいる

 

私にできるのはそれだけ

今ここにいることが私のすべて

これほど力強いことがあるのか?

 

どれほど惨めでも、どれほど憐れでも

どれほど絶望的でも

私は今ここにいる

 

だから私は大丈夫

今ここにいること

私にできるのはそれだけ

 

 

完全

 

進化という自然の属性から来るものか?

不足を見る自我の属性から来るものか?

本来の私の姿

魂の記憶から来るものか?

 

私が完全を目指すのはなぜだろう?

私は不足を見ている段階

不足という存在しないものを

存在するように見ている

 

実体はここにある、現れているものがここに

現れているものは厳かで力強い

ここにあるのはそれだけなのだから

このシンプルな事が分からない

 

現れているものを知る事

それができない

現れているものを現れていないものと比べる

私の空想から産まれたものと比べる

 

ここにある

他のない、ただここにあるもの

それを強く認識する時

私はここにいる私をただ受け入れる

 

何から引かれる事のない私として受け入れる

私の念願の夢は遂に叶う!

今この瞬間に私は完全体の私になるのだ!

いや、完全も不完全もない私がいる

 

 

 

「綺麗な手をしているな」

おじさんはごつごつした分厚い手

後ろめたいような情けない気持ちになった

男にとって綺麗な手に何の価値があるのか?

 

土を知らない手

海を知らない手

酒を知らない手

旅を知らない手

 

喧嘩を知らない手

遊びを知らない手

子供を知らない手

世間を知らない手

 

私は「はっ」とした

思考の住人から存在の住人に戻った

「綺麗な手をしているな」

それだけじゃないか

 

恥じることは何もない

人間の物語を越えて私は生まれ

意識とも魂とも呼べるものを磨き

世界に育てられてここまで来たのだから

 

 

存在意義

 

親から生まれた子どもであり

国民であり

生活者であり

未成年で成人で

第二の人生を生きる者であり

 

私の意識は狭くても

空の向こうに宇宙があるように

私の存在意義はずっと大きい

私が気づいていなくても

存在はすでに宇宙にある

 

親の理屈で生まれたのではなく

国家の理屈で生きるのではなく

空の向こうに宇宙があるように

私は宇宙の理屈で生まれ

世界の理屈で生きている

 

 

なんにもない

 

意識はないものにある

意識はあるものにない

ないものがあるものになる時

私の意識から消えて行く

 

「どうかお願いです」

神にすがった私が事なきを得る時

八方塞がりの事態も終わりの見えない感情も

霧のように消えて行く

 

消えてしまった余韻に浸ることもなく

神にすがったことも

唐突に掬われたことも

あっけなく消えて行く

 

すでに私は新しい世界を生きている

新しいないものを見ようとしている

私の強かさと適応の早さに

神といえども呆れているに違いない

 

意識がなければあるものは見えない

あるものが見えなければ感謝できない

だから私は不満を言うのか?

沢山あっても「なんにもない」と

 

 

 

私が起きると朝刊は届いていた

辺鄙な我が家に電気とガスが来ていた

蛇口を捻れば水が落ちた

外に出れば道ができていた

信号や道路標識が立っていて

バスや電車を乗り継いで行きたい所へ行けた

 

混沌とした所に秩序が与えられ

きれいに整えられた

全部誰かがしたこと、私以外の誰かの仕事

身に付けている物、住んでいる所

私が使う物

全部誰かの発明で全部誰かの作品

 

よく見れば日用品も質が高い

三次元の立体物

それでも対称的で歪みがなく

必要な形で必要な仕事をする

あるべくしてある色とデザインを纏い

磨きを掛けられて滑らかに艶を放っている

 

私の意識が届かないところへ届いている

精通した人たちの知識と技術

それに捧げた人生が

野菜、果物、魚、肉

調理されたもの

誰かが作って私は食べた

 

私は物を食べ、物を着て、物に住み

物に囲まれる

物には人がいる、知らない人生がある

命の繋がりが私を世界に繋ぐ

孤独ではいられない、事実に過ぎない

私の孤独感は幻かもしれない

 

 

誕生日

 

今日は私の誕生日

敢えて私を作ってくれた人に感謝をする日

手取り足取り教わる、背中から教わる

出来事から教わる

 

私の人生に色んな人が現れる

現れて私を作って去って行く

彼らの意図を越えて私は受け取り

私の意図を越えて誰かに与える

 

人間は人と人の間で生きている

道徳的要求を越えて関係性を生きている

それはこの世界の仕組み

変えることのできない事実

 

世界はコントラストでできていると言う

対照的な一方を知ることで

初めてその反対を知るのかもしれない

私を捕らえて放さなかった幻、孤独感

私はその対照を知るために

孤独感を知ったのか?

 

孤独感の反対は何だろう?

関係の中に生きる感じ

全体の中に生きる感じ

一体感とでも言うのか?

幻の反対は現

感覚はようやく現実を生きるのか?

 

 

愛らしい

 

居酒屋での他愛のない会話だった

誰かが断言した

「この世界は愛でできているんだよ」

「この世界は愛そのものなんだよ」

その言葉を聞いた途端

私は抵抗したい気分になった

 

名もない誰かの口調

私のいた場所がそうさせたのかもしれない

世の中には理不尽なことが沢山あって

苦しんでいる人が大勢いる

「何が愛か」

という気持ちもあったのかもしれない

 

幼い子が見ず知らずの私に手を振ってくれる

「はい」と言って

別の子は自分のお菓子を分けてくれる

その笑顔と仕草に気後れする私がいる

子どもたちを見ていると思う

確かに愛そのものかもしれない

 

子どもたちはよく笑い、よく走る

「自分にもあんな頃があったのだろうか?」

と疑問に思う

「優しいね」

大人たちに言われた記憶が残っている

あの子のように私も手渡したのかもしれない

 

知ろうと思えばどこにでもある

愛らしいキャラクターやイラスト

可愛らしい形や色使い

子どもたちの乗り物やおもちゃ

目にはつかない包装紙にまで

至る所に「愛らしい」ものがある

 

形を持った私とこの世界は

「愛そのもの」とは言い難いのかもしれない

それでも学んだり

身に付けたりするのは可笑しい

覆っているものを取り去れば

思い出せば、あるものに気づけば

 

 

光と愛情

 

窓際へ行くとそこには先客がいた

小さなカメムシが日向ぼっこをしている

「申し訳ない」と思いながら

先客をそっと手の平に乗せた

すると光に向かって飛び立った

見えたのは一瞬で、すぐに光の中へ消えた

 

力に魅せられる時があっても

誠実さと勇気、強さと優しさ

光に魅せられて方向転換する

自分勝手な時があっても

「このままではいけない」

「役に立ちたい」と軌道修正する

 

「争いは消えない」と口先で言っても

平穏な日々を望んでいる

うつむいたままでも

横になったままでも

やがてはまた立ち上がり

光を目指して歩き始める

 

人は神に似ていると言われる

神は光そのもの

そう言えば私もそうかもしれない

人は神に似ていると言われる

神は愛そのもの

私が愛そのものか?

 

私は西日本の出身

「愛」という言葉が気恥かしい

「愛情」と滲ませれば少しはマシになる

独り占めしたい気持ちがある

そうかと思えば分け合う

痛ましい事件に悲しくなる

 

幼い子が被害に遭う事件や事故は特につらい

子どもたちの声につられて笑顔になる

自分のことでもないのに応援する

手を貸そうとする

誰かのために買って帰る、他人の無事を祈る

そう言えば私もそうかもしれない

 

 

よけてくれる

 

猫がよけてくれた

蟻がよけてくれた

犬を連れたおじさんがよけてくれた

毛虫がよけてくれた

 

ハトがよけてくれた

トカゲがよけてくれた

黄金蜘蛛がよけてくれた

対向車がよけてくれた

 

ダンゴ虫がよけてくれた

殿様バッタがよけてくれた

店員さんがよけてくれた

隕石がよけてくれた

 

シオカラトンボがよけてくれた

ヤモリがよけてくれた

終末論がよけてくれた

未知の脅威がよけてくれた

 

人波がよけてくれた

みんながよけてくれた

モーセが海を割ったように

生まれてからずっと、生まれる前もずっと

 

この世界は愛そのものと言われる

だから私はのんびりできるのか

そこへ果敢にも向かって来た

世界を震撼させた吸血鬼、モスキートが!

 

 

要素

 

分厚い流氷の雲

裸木は手を伸ばした

蝿と私は手を擦り合わせた

万人を喜ばせるのは難しい

それでも成し遂げる

1億5千万㎞向こうから

寒がりの私や暑がりのあなたに丁度よく

 

これが宇宙の底力

1億5千万㎞の距離感、愛情のある温もり

+-のように凹凸のように

受け取る者とやって来る者

誘う者と誘われる者がいてピタリと嵌合する

マルハナバチと小菊のように

男と女のように、太陽と私たちのように

 

意図を越えて私は受け取る

栄養も水も空気も重力も

細胞の情報がそれを可能にする

与える者は知っていて持っている

トマトも川も山も地球も

私を知っている

私の要素を持っている

 

国境を越え、天体を越え、種を越え

与える者と受け取る者がいる

意識を越えて互いに知っている

同じ要素を持っている

それが証拠の一つかもしれない

繋がりの証拠、同じルーツを持つ証拠

同じ者である証拠

 

分厚い流氷の雲

綿毛は風に乗って落下傘のように着地した

枯葉は吹き上げられて

あるべき場所へ積った

そこへ犬と子どもがやって来た

賑やかな声がしている

裸木の下で遊んでいる

 

 

送電線

 

等間隔に止まって行く

後から来た者がその間に入って行く

大所帯で収まりが悪い

一段下に止まる者もいる

結局70羽ほど集まって

集まったかと思えば

誰からともなく飛び立ってしまった

群れと言うほど纏まりはなく

バラバラと言うほどでもなく

 

ツバメはそれぞれを生きて

全体を生きている

連絡を取り合って落ち合ったりはしない

それぞれが子育てを終え

どこからともなく合流し

一時を共にしてまた群れから離れて行く

それは細胞の情報がなすものだろうか?

産まれて間もない馬が

立ち上がろうとするのと同じように

 

群れを生きるものは自分を生きて

全体を生きている

全体という一つの生き物にもなれる

それはムクドリの群れを見ても明らかだろう

私たちもそれぞれを生きて

全体を生きているのかもしれない

意識は離れても無意識の全体を生きている

だからこそ方向性を持てたのだろう

例えば進化という一つの方向性を

 

私たちのエゴは随分膨れ上がってしまった

全体との繋がりを

意識の上で断つことに成功した

エゴが小さくなればまた全体と繋がれる

意識の繋がりを取り戻すことができる

人々の意識が全体と繋がる世界

それは確かに存在する世界

太古の人々が生きた

私たちにはこれからの世界

 

 

一つに

 

自由意志をもらい、自我を与えられた私は

全体から見れば暴走して来たのかもしれない

私を生かしているのは誰だろう?

成長させるのは誰だろう?

私にしてくれたのは誰だろう?

 

心をくれたのは

良心をくれたのは

悦びの感情をくれたのは

違いをくれたのは

それは自然、世界かもしれない

 

世界を一言で表現するなら何だろう?

悠久の歴史が、私たちの文明が

拡大する宇宙が

私たちの想像力で物語る

それは創造の力、進化そのもの

 

私が本心から生きる時

奥底の良心から生きる時

悦びの感情から生きる時

私はありのままの私になる

自然と、世界と一つになる

 

私がありのままの私を生きる時

違いを与えた側の意図が果たされ

私は世界に一つを生きている

ありのままの私が創造的に生きる時

私は全体の意志と一つになる

 

 

自我(エゴ)について(あとがき)

 

「自我になる」とは奇妙な表現だ

果たしてそれが自我と言えるのか?

少し過去の私は思ったはずです

 

誰がそれを自我と証明するのでしょう

誰が証明すれば納得するのでしょう

果たしてそれが自我と言えるのか?

 

自我でもエゴでも何でも構いません

言葉は仮のもの

知識として持っても仕方のないことです

 

「それ」が小さくなれば気づきます

減少する負の感情と思考

それらがもたらされたものであったことに

 

そして確かに「それ」が自我であると

科学的根拠はなくても確信するはずです

あなたはそれを見て歩くはずです

 

私の体験があなたにも当てはまるのなら

あなたよりもあなたを知る者が

それを見せるようになるのですから

 

私の話もまた一つの物語に過ぎません

それでも体験は事実になります

あなた以外のすべてが否定したとしても

 

ささげもの2    新しいヒトたちのために

あなたに(まえがき)

 

自我という言葉に紛れたがる自我のように

私は紛れる

言葉の曖昧さに

分かりにくさの中に

 

実は紛れていない

額面の言葉

世界が残した言葉

全身全霊のように

 

「太陽がそこにある」と言った時に

「そういう考えもある」と言うだろうか?

「太陽がそこにある」と言った時に

「それは思想だ」と言うだろうか?

 

「解釈のない事実はない」

と異国の哲学者は言った

すべては解釈かもしれない

その意味で私の言葉は解釈の少ない事実

 

これはあなたに向けられたもの

他のいつかではなくこの時に

これはあなたに向けられたもの

他の誰かではなくあなたに

 

 

御明かし

 

こんな時間まで仕事をしているのか?

鏡越しに君を見ていた

私にとっての光はきっと

後にも先にも君しかいない

純真な精神のモチーフとなり

シンボルにもなってくれた

 

底がない沈黙か?

そこは輪郭と時間のない闇

そこはかとない粒子の漣か?

高密度の原始的大気

天上の熔融炉、生じた光熱

1億5千万㎞の距離は命になった

 

私の心まで照らした

陰りのある心に確かに晴れ間が広がった

君はくまなく照らした

こんな辺鄙な我が家まで

トカゲもヤモリもカメムシも

みんなが心待ちにしていた

 

十分に含んだTシャツや布団の匂いに

確かに私も歓んでいる

寒い朝は選んで歩いた

夜になれば鏡越しに見ていた

君はくまなく照らしている

みんなが寝ているこの時も

 

 

ひとり旅

 

どれほど歩いたことだろう

自分の足でここまで来たのか?

誰かの助けなしにはあり得なかった

 

渇いた、と聞けば水を飲み

暑い、と聞けば服を脱ぎ

疲れた、と聞けば横になる

 

減った、と聞けば食事をし

寒い、と聞けば服を着て

行くか、と聞けばまた歩く

 

それのなすがままではなかったか?

自分で成し遂げたつもりだった

私は自分の足でここまで来たのか?

 

 

岐路

 

望みがないと思っても微かな望みがある

妥協でも取りたい選択肢は残っている

余地がある

そこに愛情がある

 

岐路に立たされた時

知らなかった私を知るのかもしれない

望んだ道に進んでも望んだようにはならない

それでも必要な何かを得るのかもしれない

 

何もかもが上手く行かない

遅過ぎる

もう望みがない

それは誤解だったのかもしれない

 

それでも誤解さえも織り込み済み

誤解がなければ苦しみは起きない

苦しみがなければここへは辿り着けない

私は苦しみを避けてここへ来たのだから

 

広がる可能性を絞り込み

私の希望や展望とは別に

導かれるようにここへ来たのかもしれない

私の知らない私を知るために

 

 

苦手なヒト

 

理解できない、共感できない

違いが、違和感が

苛立ちになっていた

私は誤解していた

違いが、違和感が

私を作っていたのだ

 

私の人生に苦手なヒトが現れる

違いを知る時、私は明確に私になる

広がったままの

ぼやけたままの

まだ自分を知らない私が絞り込まれ

私の核心は浮き上がる

 

怖いヒト

馬が合わないヒト

難しいヒト

よく分からないヒト

苦手なヒトほど

私の知らないありのままの私にする

 

 

躊躇

 

誰かの持ち物が羨ましく見えた

ようやく手に入るチャンスが訪れた時

一瞬の躊躇が起きた

なぜだろう?あれほど欲しがっていた私が

 

その違和感は本当に微かなものだった

それでも重大な違和感だった

本心は求めていなかった

その時になるまで私は気づけない

 

私は何も持てなかった

私だけが取り残された

それは誤解だったのかもしれない

私は本心に近づいて来た

 

「何かが違う、これじゃない」

と搔き分けながら

私の知らない私に、ありのままの私に

本当に求めていたものに近づいて来た

 

 

確か

 

どこかに向かっている

確かなどこかに

本心の私に向かっている

それだけは確かに知っている

 

それでも本心の私を知らない

今の私は分からない

それでも確かに知っている

本心の私に向かっている

 

歯を磨いている今も火星を見上げている今も

確かな道を歩いている

確かな道とは今、歯を磨いていることで

今、火星を見上げていること

 

自分を知らない私の意図

私のもどかしさ、私の行き詰まり

それとは無関係にそれさえも確かな道として

私はどこかへ向かう

 

本心の私に

ありのままの私に

世界がくれた私に

魂のような私に

 

 

本心の私

 

心の底

一番深いところ

残響している

本心の声

 

社会に馴染もうとし始めた頃

私は本心を忘れた

それでも響いている

エコーは消えない

 

労働に明け暮れている頃

一人前の社会人になろうとしている時

私の意識の下

本心も育っていた

 

生まれて来た理由

労働を越えた私の仕事は一体?

京都の街を一晩中、自問自答して歩いた

それは青年時代の私、本心の私

 

遂にあの日の私に出会う

生まれて来た理由

労働を越えた私の仕事は一体?

その答えが時を越えて立ち現れた

 

私の青写真と生命の青写真は違った

永い間準備をして来た

私の知らないところで

細胞が成長するように私は育っていた

 

 

キャンバス

 

一瞬過去ではなく

一瞬未来ではなく

今ここを生きている

今ここの連続に

今ここはまるで流れのない時間

時が止まった空間の重なり

無限の立体キャンバス

 

世界に一つが生きている

細胞の蠢きのように

世界に一つの経験で

無限の立体キャンバスを埋めて行く

細胞の蠢きのように

モザイク画のように

瞬間の中で初めての絵になる

 

それは壮大なスケールの絵画

全体は生きている

今ここで初めてを経験し

細胞の蠢きのように進化する

同じ存在の同じ経験では進化しない

違いを持った存在が違いを生きている

その理由はここにあるのかもしれない

 

 

分からない人

 

考えが違う、感覚が違う

分からない人が大勢いる

分からない人は分からないことをする

分からない物を食べ、分からない物を読み

分からない物で喜ぶ

分からない人と付き合い

分からない所に住み、分からない仕事に就く

 

分からない場所で分からないことをする

私にはできないこと、やりたくないこと

どうでもいいこと

それを熱心にすべてを捧げてする

私には分からない

正直に言えば少しは分かる

それでもほとんど分からない

 

誰もが分からない場所にいる

そこで分からないものを守り

分からないものを育て

分からないものを生み出す

だから世界は回る、進化する

私には分からなくても

そのことが私にしている

 

 

仕え事

 

「シーンを盛り上げる」と言われる

それぞれがそれぞれで全体を築き上げる

新しい人間には俯瞰的意識が追加される

進化する全体への参加者という意識が

 

新しい世界で他者は対立の対象にならない

私が参加する全体への別の参加者

体と自己意識を超えた別の私

他者がいなければ成立しない世界

 

私よりも上手い人がいる

それでも私がする理由はどこにあるのか?

無限の可能性と言っても自由意志と言っても

私には限りがあり、私は世界の子どもなのだ

 

私よりも上手い人がいる

先行く人が私を作る

私の可能性を消してくれる

私は「あるべき私」に近づく

 

私がしようとしていることよりも

私の「すべきこと」は一体?

それが何か分からなくても

それがあることは知っている

 

それをすれば上手く行く

そのことも知っている

世界が私にそれをくれたのだから

世界に逆らえる者など誰もいないのだから

 

この世に一人

見て歩いた訳ではなくても確かに知っている

私であること

世界が与えた仕事がある

 

 

恒星

 

そこに恒星はある

すぐそこに

火星は遠くにある

ずっと遠くに

 

私はその恒星のことをよく知っている

私たちの物語にそれはよく登場する

それでも私は知らない

火星よりもずっと遠くにあることを

 

私は知らない

もこもこと泡のように雲を立てることを

時には川のようにそれを流し

私たちの街に影を落とすことを

 

学校に仕事に家事に育児に

みんなが忙しくしているうちに

そっと色を変えることを

沈む間際に山に吸い込まれることを

 

私がカーテンを閉めた後も

知らないその娘を照らしていることを

知らない街に暮らしに

敵対する者にも等しく与えることを

 

生まれたての無名の命にも

今、死に行く者にも

恒星は等しく、相応しく影を与え

形の世界に形の証を与える

 

恒星は相応しいものを与えた

クジラにはクジラに

ネコにはネコに

カエルにはカエルに

 

テントウムシにはテントウムシに

ひまわりにはひまわりに

メダカにはメダカに

トマトにはトマトに

 

私には紫外線をビタミンDを

人類の知らない栄養素xを

必要な分だけ丸ごと与え

私を私にしてくれる

 

誰もいない太古から与えて来た

シアノバクテリアには相応しいものを与え

光合成から酸素を引き出し

多様な命を生み出して来た

 

恒星は神のように知り尽くしていた

恒星は神の一部、圧倒的に正しかった

私の見ている世界がそれを証明している

恒星は自分の存在を知り、存在を生きていた

 

 

正しい

 

ぱらぱらと降る、ぽつぽつと跳ねる

デタラメに思えてもそれなりのリズムがある

雪でもひょうでもみぞれでもない

雨は雨で正しい

 

しんしんと降る、音もなく着地する

デタラメに思えてもそれなりの所へ積もる

雨でもひょうでもみぞれでもない

雪は雪で正しい

 

特急は正しい

各停は正しい

レモンは正しい

その形、断面はレモンのもの

 

桜は正しい

楓は正しい

松も竹も梅も正しい

存在に上下も優劣もない

 

海は正しい、だから色んな魚を養う

山は正しい、だから色んな獣を抱える

海は山になれない、なりたがらない

山も海になれない、憧れない

 

言葉は音楽に憧れない

言葉は正しい、音楽は音楽で正しい

太陽は太陽で正しい

私も私で正しい

 

だから私はここにいる

他のものと同様に世界が私にしたのだ

私は正しい

私の存在は圧倒的に正しい

 

そうでなければこの世界に存在できない

それでも私を知るのか?

誰でもない私を、私の仕事を

私は私を知るのか?

 

 

優秀

 

優秀であることは凄い

優秀であることは難しい

それでも優秀は違う

自然の姿と似て非なるもの

 

優秀であるよりも与えられた属性を

私であり、あなたであることを

他にはないということを

その事実を

 

私たちは上へ上へ伸びて行く

それは自然の属性、私たちは進化そのもの

優秀は自我の属性

自然に、進化に「誰かよりも」は要らない

 

 

自然の姿

 

私の前に道はない、やり方もない

だからと言って不安になることもない

すでに備わっている、世界に一つの属性が

 

この世に一つを生きる時

空気のように水のように自然に溶け込む

なぜならそれが自然の姿なのだから

 

この世に一つを生きる時

最も力強く、創造的でいられる

なぜならそれが自然の姿なのだから

 

自然に抵抗するのは誰だろう?

自分を知らない私の意図

思い通りにしたがる私

 

誰かになりたがる私

優秀であろうとする私

あるべき姿、幸せの形、「みんな」を見る私

 

この世に一つを知らない私

自然の姿からかけ離れた私

自我になった私

 

 

砂上の楼閣

 

倫理観の問題か?

手抜き、誤魔化し、監視がなければできない

私が私であれば私の仕事をする

私の仕事であれば手を抜かない

誤魔化さない、監視は要らない

 

放っておかれてもやる

倫理観からでも責任からでもない

厳密に言えば誰かのためでもない

それこそ倫理観に反するのかもしれない

それがしたいからする

 

本心が求めるからする

それをする時は没頭する

過去も未来も、今ここではないどこかも

誰かも自分さえも入る余地がない

その時に質は高まる

 

本心が教える

良心が教える

悦びの感情が教える

自然が与えたものが私に教える

ありのままの私を、私の仕事を

 

礎にしたものが間違っていたのかもしれない

誰もが同じであるという

その不実を礎にしてしまったのかもしれない

私たちは自然に帰る時に来ている

自然、そこは事実の世界

 

 

宮殿

 

自然のままにしておけば

建築されたままにしておけば

守られるようにできていた

誰にも見えない、権力者も踏み込めない

私さえ許さなければ

 

夫に明け渡すな

上司に明け渡すな

親に明け渡すな

自ら明け渡すな

心は私の宮殿

 

自我に明け渡すな

それには警戒が要る

道徳や正義のフリをして

「べき」「ねばならない」を持ち込み

ありのままの私を許さない

 

誰にも明け渡すな

心は自然が与えた宮殿

この世を愉しむための創造の場所

太古も未来もない流れのない時間

今ここに蓄積された私そのもの

 

 

ミチオシエ

 

悦びを追う時、私は子どもになる

過去も未来も、どこかも誰かも消える

私はただ今ここで遊び、世界と一つになる

 

悦びを追う時、私は私の道になる

足跡を辿るのではなく

私の後ろに足跡ができて私自身が道になる

 

悦びを辿るうち、私は未知の私になる

自然から与えられた固有の部分が

引き出されて伸ばされて世界に一つになる

 

悦びを辿るうち、私は悦びに愛される

悦びが私の行き先を照らすようになり

私はただ悦びのままに歩を進める

 

これは何かに似ている

私は思い出そうとしていた

田舎で見た子どもの風景、私を誘なう香り

 

私の歩調さえも知っている

玉虫のような神秘の色

あのミチオシエのこと

 

 

自然を生きる

 

私さえいればいい、というのは都合がいい

私がいればできてしまう

私が右手を出せば

「それでいい」と肯定され

私が左足を出せば

「それが正しい」と称賛される

私の考察や閃き

これまでの人生までもが仕事になる

 

自然を生きるとはそういうことかもしれない

こんなにムダのないことがあるのか?

自然は最も合理的なシステム

自然を生きるとは

その言葉が持つ分離感とは違い

私に馴染んでいる

馴染む、という分離感さえもない

それは私なのだから

 

自らの意志で開拓し、文明を築き上げて来た

進んだ存在が遅れている訳がない

ところが遅れている

すべてが自然の子どもであり

自然であるに違いない

すべてが神の子どもであり

神であるに違いない

肉体を纏うと同時に纏ったエゴも

自然であり、神であるに違いない

それでもあまりにかけ離れている

 

私が纏ったそれに気づく時

自然が与えた私を生きるようになる

本心の思いが道になり、悦びが道を照らす

誠実に悦びを生きる時

私は世界に一つを生きている

私はようやくそこら辺の樹木になり

そこら辺の猫になる

自然界の一員になり

神の意思を生きる者になる

 

ただ土に触れることではなく

自然を生きるとはそうことかもしれない

私はただ自然が与えた本心を知り

自然が与えた悦びを生きる

私はただ進化する世界に加わろうとする

取り掛かろうとする

自分でやろうとするのではなく

生かすものが私を通してするようにする

 

 

寵児

 

在るものを見る人は質の高い仕事をする

在るものは例えば足元の虫で頭上の星

在るものを見る人は実体を見る

実体が持つ不可解、不思議、奇跡を見る

 

在るものを見ない人は名前を見る

実体にはない名前、実体には及ばない情報

人間が与えた物語を実体として見る

そこに不可解、不思議、奇跡はない

 

在るものを見る人は見せるものが違う

肉体を纏うと同時に纏ったエゴが

小さいか、あるいは薄い

その為に意識は繋がる、今に在る体と繋がる

 

今に意識がある人は在るものを見る

今に在るものと意識が繋がる

今に在るものとは例えば生命力の泉で

創造力の泉、人智を超えたこの世界の根源

 

在るものを見る人は質の高い仕事をする

今に在る創造力の泉と繋がり

この世界の創造力を受け取る

彼らはまさに天才になる

天才が神の寵児と言われるのはその為だろう

 

在るものを見る人は質の高い仕事をする

幼い彼らが

足元の虫や頭上の星に魅せられたのは

きっとその為に違いない

 

 

小さな過ち

 

意識は先に先に

それでも体は今ここに

意識と体が一致しなくても

それなりに成立するようにできている

それでも誤差が拡がればエラーが起きるのか

 

私は小さな過ちを犯した

過ちとも呼べない小さな過ちを

意識が今ここになければスムーズに行かない

意識が今ここにないことを

小さな過ちは教えてくれる

 

小さな過ちが

「今ここにあれ」と教えるのはなぜだろう

今ここに何があるのか

今の常識では測れない

重大な秘密が隠れているのか

 

 

根源(初めからいた場所)

 

過去は過ぎたもの

未来は現れていないもの

ここではないどこかではない

今ここを生きている

すべてが今ここを

すべてが今ここから生まれ

すべてが今ここから始まり

すべてが今ここから拡がり、進化する

 

今ここは特別な場所

限界を知らない生命力の泉、創造力の泉

あらゆるものの場所で根源

まるで神そのもの

私はずっと今ここにいた、体だけがそこに

意識は存在に依存しながら過去と未来に

今の私ではない他の誰かに

ここではないどこかに

 

今ここは拠り所にならない

実在するものも事実も

エゴの仕組みに気づけば

意識は何億年振りにあるべき場所へ帰る

意識と体が繋がる、すると光が射し込む

厳重な扉が開いたのだ

私は初めて知る、扉の存在

エゴが鍵を掛けていたことを

 

閃きが何度も訪れた

できなかったことができた

知らなかった私がここにいる

それでもそれは元々持っていたもの

自然から貰った固有の部分が

引き出されて伸ばされた

初めからいた場所

私の足元には創造の世界が広がっていたのだ

 

 

プラグ

 

誰もが繋がっている

だから鼓動する

後は意識の繋がりだ

それがないのは抜けているのと同じだ

 

プラグが差されば繋がる

創造の泉、今ここと繋がる

世界に一つが伸ばされる

世界が与えた天才になる

 

誰もが天才になれる

すでに今ここを生きているのだから

奪われることのない天才になる

すでに世界に一つなのだから

 

 

進化

 

社会であり得たのはなぜだろう?

高度な統治能力、法的拘束力を持てた事

多様な私たちが従う生き物だった事

それはエゴの功績だったのかもしれない

エゴは道徳をも強化した

それでも行き過ぎていた

 

ヒトの世はエゴの賜物、虚構と幻影の世界

エゴがなければ見る事はできない

必要性を越えた「べき」「ねばならない」

あるべき姿

人生のレール、幸せの形

普通、平均という物語

 

エゴがなければ見る事はできない

繋がりのない不実、幻

それがなければ孤独を感じる事はできない

孤独感がなければ

落ち着きのなさがなければ

また物語に戻って来る事はできない

 

エゴがなければ見る事はできない

誰もが同じであるという不実を

実体のない「みんな」を

それがなければ比較も競争もできない

足並みを揃える事もできない

自分を殺す事などできない

 

エゴがなければ見る事はできない

実在しない世界、今ここではないどこか

先行き、見通し、計画、戦略

懸念という未来に生きる事も

理想という未来に生きる事も

今を犠牲にする事もできない

 

エゴがなければできない

恐れを見る事も分断を見る事も

繋がりのあるものを、私にしているものを

敵視する事はできない

相手の影を育てる事もできない

「優位に立ちたい、奪いたい」とは思えない

 

エゴがなければ一様の眠りに就けない

実在の世界を離れ

意識の世界を築く事はできない

ヒトの世はエゴの賜物

それでもすでに歪んでいる

人類の夢は意図を越えているのかもしれない

 

私たちの細胞と私たちの思考は違う

生かすものの意志と私たちの意志は違う

有機物の大気か?水辺の草か?水際の魚か?

名もないあの祖先のように

意図を越えた進化の時に来ている

礎が替わる時に来ている

 

 

礎が替わる時

 

自分たちだけでやろうとしたのかもしれない

根源との繋がりを意識の上で断ってしまった

自我を礎にしてしまったのかもしれない

意識が繋がるだけで一体何が変わるのか?

自我を知る時、自我は力を失い始める

心の苦しみは小さくなり

意識は繋がり始める

 

私たちを生かし、進化に向かわせるもの

命、自然、宇宙、世界と繋がり始める

意識が存在の場所に帰る時

新しい世界が訪れる

創造性の飛躍、閃きと導きの世界

あの世界の私たちが

遂にこの世界と関わりを深める

 

自我を礎にしていては知ることはできない

自然が持つ別の側面も私たちの実体も

自我を礎にしていては

この世界の創造力を受け取れない

それでは築き上げたものは無駄だったのか?

根源との繋がりを礎にした時

既存の文明は昇華を始めることだろう

 

世界は待っている

私たちが自我を乗り越え

私たちの意識と繋がる時を

世界が与えた私たちを生きる時を

多様で創造性豊かな世界になるその時を

なぜなら世界は創造力

進化そのものなのだから

 

 

面影

 

あなたの向こうに見える

あなたのような青年の顔が

あなたのような少女の顔が

 

あなたの向こうに見える

あなたのような幼い顔が

ためらいのない笑顔が

 

あなたの向こうに見える

純白のような光が

良心と愛情の光、魂のようなあなたが

 

あなたの向こうに見える

粒子のような生命の漣が

創造と進化のエネルギーが

 

 

背後にあるもの

 

私の背後にあるもの

創造の力

進化する力

目には映らない生命の漣

 

不十分な歴史でも証明するには十分だった

創造、矛盾、解体、創造

至る所で繰り返されても

停止も後退もしなかった

 

見えないものから見えるものへ

時空、大気、天体、細胞、文明

生命は形になり

形を生きて形を築いた

 

ここに今までの私はいない

背後にあるものが私を生きて

形の世界に新たな形を構築し

創造は続いて行くのだ

 

 

神の戯れ

 

始まりを告げるカウント

闇を引き裂いた

怒涛のビート、ライティングの明滅

私の精神を追い詰める

流麗なる旋律、圧倒するカリスマ

激情で声を上げる聴衆

 

襲い掛かる数多の小惑星

天地の終末と創造

火の星となる地球

マグマの海、原始大気

熱、鉱物、有機物

雨はやがて丸ごと大地を呑み込んだ

 

誕生と消失を繰り返した海

私たちの祖先はこの泥の中

温かい命のスープから生まれたのだろうか?

何もなかったこの場所に

ここまでのものを創り上げてしまった

まるで底力を見せつけられている

 

誰も知らない

天才と言われた学者も名医も

あの神のような演者たちも私も

なぜか生きている

生きているところにエゴがある

そのせいで私がしていると思っている

 

これは命の表現

何もかもすべてが命の姿

私は圧倒される

激情する聴衆に

吹き上がる火柱に

雄叫びを上げるギターに

 

神のような演者たちに

演者にしているものに

細胞の遊び

光年の彼方からやって来た生命の意図

神の意志

現実のものにする名もない力に

 

 

ひとつ

 

停滞を知らない

後退を知らない

もう一度を知らない

限りを知らない

知っているのは私の思考と感覚

 

瞬間の中で初めての形になり

瞬間の中で初めてを経験し

瞬間の中で拡がり、進化する

完全な無から有は生まれない

始まりを知らないものは終わりも知らない

 

ひとつから生まれる

ひとつから分裂する

ひとつから拡がる

ひとつから進化する

出所はひとつ

 

名前はそれを指す仮のもの

ひとつは多くの名前を持っている

ある人は命、ある人はエネルギー

ある人は神

ある人は意識と言うのかもしれない

 

ひとつは向こう側にあるものか?

動物、植物

鉱物、人工物

眼には映らない形、可能性

ひとつから外れるものがあるのか?

 

 

分裂

 

ゼンマイが止まるまで動いている訳ではない

バッテリーのような寿命を

ただ消費している訳でもない

停止するまでたまたま生きている訳ではない

細胞はどこかへ向かっている

それぞれの細胞はそれぞれを生きて

全体は確かなどこかへ向かっている

 

確かなどこかへ向かわなければ

私がまず成り立たない

細胞は拒絶し合い、反乱を起こすだろう

世界も同じ

それぞれがそれぞれを生きて

全体は確かなどこかへ向かっている

だから繋がりとして生きている

 

私の細胞も犬を連れたおじさんも

隣の猫も地球も太陽も

地球や太陽に影響を与えている未知の世界も

全体は確かなどこかへ向かっている

そうでなければ成り立たない

犬と猫が、あるいは犬とおじさんが殺し合い

太陽は地球を焼き尽くすだろう

 

自我は繋がりを知らなくても

繋がりを生きている

全体という自覚を越えた生き物を生きている

形という違いを越えた一つを生きている

歴史に拠れば確かなどこかは

生存であり、成長であり

進化であり、拡大かもしれない

 

私は細胞の集まりで細胞の分裂とも言える

分裂から考えれば

一つを生きているのは真っ当なこと

分裂したものが沢山あるように見えている

色んな形をしたものが無関係に見えている

独立できるように、独立しているように

自我になった私はそういう幻想を見ている

 

 

神妙

 

休憩かと思えば訪問者だった

お茶を持って別棟へ、そろりそろりと

毛虫かと思えば三毛猫だった

草むらから車の下へ、そろりそろりと

 

青虫かと思えばカマキリだった

白線に沿ってやって来る、そろりそろりと

綿虫かと思えば蝶々だった

空から空へ、羽を伸ばしてひーらひら

 

ウインカーはチカチカチカチカ

社用車が滑り込んだ

カマキリはのけ反った

降りることもなく、営業マンはこっそり寝た

 

「アー、アー、アー、アー」鴉が声を上げた

蝶々は少し遠慮した

「おーい!おーい!」酔っ払いが声を上げた

鴉が飛び立った

 

車を取りに従業員が駆けて来た

猫が飛び出した

社長さんはお見送り

お互いに会釈して、そろりそろりと

 

 

ライブ

 

空に遊ぶように

カノンのように

蝶のつがいが舞っている

 

今に遊ぶように

カノンのように

子供らが走り回っている

 

風に遊ぶように

シンクロのように

コスモスが揺れている

 

音楽に遊ぶように

シンクロのように

観客たちが揺れている

 

ギターが泣いた、ヒタキが歌った

命が奏でた

拍手の雨音がする

 

空が応えた

草原の葉擦れが波の音に変わる

遠くの方で雷鳴が轟いている

 

人々が家路を急いでいる

ムクドリの群れが帰って行く

太陽が地平に降りて行く

 

 

命の呼吸

 

呼吸

それはまるで命のうごき

ソファーで大人しくしている犬や猫の

からだが少し膨らんで元に戻るはやさ

 

呼吸

それはまるで命のうごき

葉っぱに留っている蝶々の

羽が閉じたり開いたりするはやさ

 

呼吸

それはまるで命のうごき

電線に留っているセキレイの

尾羽が上がったり下がったりするはやさ

 

呼吸

それはまるで命のうごき

ススキの頷き

すじ雲、飛行機雲のはやさ

 

呼吸

それはまるで命のうごき

秋蛍の光

夕闇に灯る街明かりのはやさ

 

呼吸

それはまるで命のうごき

寝室で眠っている子どもやあの人の

布団が少し膨らんで元に戻るはやさ

 

呼吸

それはまるで命の息づかい

命が生きている

この世界を、私たちを

 

 

乗り物

 

心臓は鼓動する

血液は巡る

生成、分泌、分解、吸収

臓器は役目を果たす

 

私は誰か?呼吸するものか?

呼吸するのは肺臓だ

私は脳細胞か?

指令を出すほど私は知らない

 

体が生きている

私の理解を越えて意図を越えて

生きている体に私がいる

体はまるで私の乗り物

 

私の人生に色んなヒトが現れる

物、言葉、出来事、感情

色んなものを残して去って行く

受け取ったもので私はできていた

 

人生は展開する

私の理解を越えて意図を越えて

人生の流れの中に私がいる

人生の流れはまるで私の乗り物

 

世界は回る

機械式時計の精密さ、隠れた秩序で

広大無辺の宇宙の網の目、神経回路

覗いた先に私がいた

 

世界は進化する

私の理解を越えて意図を越えて

進化する世界に私がいる

進化する世界はまるで私の乗り物

 

理解、自覚、意図

全部越えた乗り物

それが私を生かし、私を守り

私にしている

 

 

信仰の対象

 

私は信じない

減少の感覚も増大の感覚も

肩書きも名前も

 

私は信じない

過剰な恐れも気の重さも

後悔も比較も

 

私は信じない

頭がすることも思い通りも

私の感覚も負の感情も

 

私は私を信じない

人生の流れを信じる

現れる出来事を信じる

 

現実を信じる

細胞を信じる

地球を信じる

 

太陽を信じる

世界を信じる

私にするものを信じる

 

私を越えよ

頼れるものを頼ること

それが理に適っている

 

 

バラバラ

 

「心の力を信じない」

と私は言った、それでも言った

「誠意がない、思いやりがない」

「意気込みが感じられない」

 

「見えないものは信じない」

と私は言った、それでも言った

「恥をかかされた、自尊心を傷付けられた」

「蔑ろにされた」

 

「科学的根拠のないものは信じない」

と私は言った、それでも言った

「薄情な奴だ、愛情が無くなった」

「寂しい、私を信じて欲しい」

 

言うこともすることもバラバラ、自覚もない

私は心の力を知っている

見えなくても

科学的根拠がなくても信じている

 

 

無知の知

 

みんなは知っている、私は知らない

みんなはできる、私はできない

みんなは完璧、私は不足

それでも私は特別

 

みんなは知っている、それでも黙っている

私は知らない、それでも煩い

みんなはできる、完璧にひたむきに

私はできない、足りない、それでもサボる

 

みんなはそこにいる、仕事をしている

私は知らない、知っただけで立ち騒ぐ

みんなは寝ずに働く、文句も言わない

私は毎日寝る、それでも不満ばかり

 

細胞が働いて微生物が働いて私は生きる

地球が働いて宇宙が働いて私は生きる

見知らぬ場所の見知らぬものが働いて

人類の知らないところで私は生きる

 

至れり尽くせり

それでも私は知らない

そんなことさえ知らない

そんな私が何を知ると言うのか?

 

 

当てにならないもの

 

思考は言う

後戻りせずに

スムーズに

思い通りに

 

現実は違う、それでも私は進む

進むために必要なものだったからに違いない

だから私は進む

思考はそれを知らない

 

負の感情は言う

後戻りせずに

スムーズに

思い通りに

 

現実は違う、それでも私は進む

進むために必要なものだったからに違いない

だから私は進む

負の感情はそれを知らない

 

 

事実

 

昨日の私を噛みしめよ

「無理だ」と言った考えを

伸し掛かった気の重さを

意識化するまで噛みしめよ

 

越えたことを噛みしめよ

意識化するまで噛みしめよ

事実を実感に変えるまで

今日の私を噛みしめよ

 

苦手意識よりも事実

手応えよりも事実

懸念も予測も想定も

思い通りも越えてここにいる事実

 

振り返るのもいいものかもしれない

事実が私に自信をくれる

思考と感覚に囚われた私を

事実が解放してくれる

 

教育に拠るものとは思えない

本能から来るものだろうか?

事実には説得力がある

私を納得させるだけの力がある

 

 

ギリギリ

 

足りなければ不安になる

お金も時間も知識も経験も

豊富に持っておきたい

それを言うのは私の思考と負の感情

 

豊富に持っておきたい、それでもギリギリ

夏休みの宿題のように

平べったいヤモリのように

私はギリギリですり抜ける

 

ギリギリ、という解釈が可笑しいに違いない

過不足がない為にギリギリに見えるのだろう

思い通りではなくてもスムーズではなくても

全力でする時、今の私ですり抜ける

 

ギリギリであろうと現実は当てになる

私の思考と負の感情よりも当てになる

現実は現れたものであり

思考と負の感情は現れていないのだから

 

 

予定

 

予定の変更を嫌う

いつまでも気にする

予定が変わることを悪いことだと信じている

予定の変更で現れたものよりも

予定という現れていないものを大切にする

 

予定が変わったからこそ現れたのだと

思い通りではなかったからこそ

この現実世界に誕生したのだと

私は決して考えない

これは私の盲点なのだろう

 

私に必要なことは

現れているものをただ知ること

現れるというのはそれが何であれ

この宇宙に生まれ、実在することであり

厳かなことなのだから

 

現れていないものから現れたものへ

思考から実在するものへ

思い通りから結果として現れている現実へ

そのコペルニクス的転回が

私を気楽な生き物にする

 

 

家路

 

いかに効率よく収益を上げるか

それが肝心だ

ロスは命取り

そのためには情報収集すること

傾向を掴み、対策を立てること

シミュレーションしておくこと

もしもの備えは万全にしておかなければ

 

モンシロチョウがひらひら舞っていた

行ったかと思えば引き返し

また行ったかと思えば引き返し

ふらふら、ふらふらしていた

足元の蟻たちも働き者かと思えば

ウロウロ、ウロウロしていた

彼らは仕事を終えて今夜も家路につくのか?

 

私は目論見が外れてあたふたしていた

ツバメはスイングする音楽

風を切って遊んでいた

「ピチュピチュ、ピチュピチュ」忙しそうに

雲雀はどんどん、どんどん上昇する

やがて姿はなくなり、声だけがしていた

彼らは仕事を終えて今夜も家路につくのか?

 

私は目論見が外れてイライラしていた

行ったかと思えば引き返し

また行ったかと思えば引き返し

ウロウロ、ウロウロしていた

思い通りには行かない、現実は厳しい

それでも私は仕事を終えて

今夜も家路についた

 

 

職人

 

閃き

それは微かなサイン、初めに来る方

それに従うと上手く行く

何となく知っている

それでも相手にしない

 

後から来る方

定石、目先の都合

考えに従う

仕事は停滞し始める

私は焦り始める

 

「それでも大丈夫」

そのことも知っている

思った通り、事は過ぎ去る

それでも上手くない

美しくない

 

難しそうな仕事、初めての仕事は気が重い

それでも知っている

私の無意識からの言葉

「何とかなるよ」はその現れ

私は覚えている

終わらなかったことは一度もなかったことを

 

 

アクシデント

 

収拾がつかなくても構わない

余計に散らかっても構わない

それでもそうはならない

アクシデントは続かない

 

私に不慮の出来事が現れる

持てる力で解決しない

私は新しい試みをする

新しい発想、新しい組み合わせ、新しい方法

 

誰かに掛け合って力を借りることもある

私は新しい発想で、新しい方法で

新しい私でアクシデントを乗り越える

私は意図を越えて新しい私になる

 

アクシデント

それは飛躍のきっかけ、装置

負荷が弱ければ成長しない

強過ぎれば潰れる

 

頭は言う

「スムーズであるように」

「ノー、トラブルで」

現実は頭ですることを越えて来る

 

それでも現実は見ている

私のレベルを知っている

だから相応しいものをその時々に与え

私は潰れずに成長する

 

 

 

どうせあの人はああいう人だから

どうしてあの人はいつもああなんだろう

今度ああいうことがあればこう言ってやろう

そう思っていた相手に驚かされる

突然貰った優しさ、感心する一面

初めて知った相手

私は恥ずかしくなる

 

欲しくてたまらない

欲しがるほど手に入らない

要らなくなった時にやって来る

欲しい時には手に入らず

手に入った時は欲しくない

思いはいつも満たされない

現実は思いの外

 

子どもの頃の記憶

見上げた空に月がある

私が止まれば月も止まる

私が追えば月は逃げる

私が止まれば月もまた止まり

また追えば月はその分逃げる

私は追い付けない

 

理解した、マスターした、掴んだ

もうすぐ手に入る、もうちょっとで手が届く

そう思うとすり抜けた

いつまで経っても掴めない

考えることもやることも

私の選んだ方はいつもダメで

私が私であることがダメなのだ

 

私は諦めた

すると向こうからやって来た

「ここにいるよ」と待っていた

私はほっとした

結局掴めない

現実は思いの外

それでも現実は私を見捨てない

 

 

愛そのもの

 

聖職者、ならず者

大食い、ベジタリアン

エリートコースを行く人、世捨て人

気楽な人、深刻な人

誰も裁かない

地球は溢さずに受け止める

 

科学の信者、オカルトの信者

心の力を信じる人、信じない人

向こうにいる神の信者、すべてが神の信者

神も仏も信じない人

選り好みしない

地球は溢さずに受け止める

 

異なる信念の世界

存在者の数だけ存在する世界

この世界とあの世界

全く違う、それでも繋いでいる

関係の中で生かしている

進化に向かわせる

 

誰も裁かない、選り好みしない

世界は溢さずに受け止める

私には到底納得できない

それでもこれが無条件の愛かもしれない

言葉を持たないからこそ

尚更、愛そのものかもしれない

 

 

揺り籠

 

誕生さえも難しい

それでも私は産まれる

私の思いを越えて

 

維持さえも難しい

それでも私は成長する

私の思いを越えて

 

宇宙が私の場所になる

世界が私を産み落とす

地球が私を繋いでいる

 

自然が私を育てている

生命が私を生きている

現実が私を守っている

 

私の思いを越えてすべてがなされる

言葉のない愛情、優しさ、豊かさ

それはあまりにも自然なもの

 

だから私は言う

「現実は厳しい、思い通りにならない」と

何も知らずに私はただ籠に揺られる

 

 

信頼

 

私は信頼します

このリンゴをこのバナナを

北国の土を南国の水を

 

私は信頼します

パン屋のお姉さんを整備士のお兄さんを

弁当屋のおばさんを農家のおじさんを

 

私は信頼します

対向車を後続車を

隣の猫を明日を

 

私は信頼します

地球の中、裏側

地殻、マントル、深海を

 

私は信頼します

隣国のあなたを光年の彼方を

うみへび座・ケンタウルス座超銀河団を

 

私は信頼します

私を作る細胞を微生物を

原子、分子、ミクロの世界を

 

私の心配事が、この辺りが

「世界と無関係だ」

とでも言うのでしょうか?

 

光年先の事態が、名もない世界が

「この街と私に無関係だ」

とでも言うのでしょうか?

 

政治家だけが官僚だけが

大企業だけが

監視を必要とするのはなぜでしょう?

 

無責任かもしれません

知ろうとは思えないのです

無極の世界を前に茫然とします

 

無責任かもしれません

知っていることだけでこの辺りで

世界が成立するとは思えないのです

 

無責任かもしれません

それでもお任せです

さもなければここに立つことさえできません

 

私は信頼します

デタラメに絡み合うあの植物を

錯綜する人間の意図を

無造作に積まれた異世界の何か

宇宙の理を

 

 

私は蛙 私はカマキリ

 

蛙は知らない

井戸の中だけが蛙の世界

外側があるために井戸があることを知らない

蛙には井戸がすべて

蛙は分断された世界に生きている

それでもそれは幻想に過ぎない

分断されているのは蛙の意識

現実は繋がりの世界に生きている

 

理解できることだけで知覚できることだけで

それだけで世界は成り立つのか?

私は身近なことに深刻になる

あたかも深刻さが私を守るかのように

深刻さを持って身構える

それでも理解と知覚を越えた外側には

無防備で意識にも上らない

私は一体何をしているのか?まるで蟷螂の斧

 

私は知らない

外側があるためにこの世界があることを

繋がりの世界に生きていることを

得体の知れないものに生かされていることを

厳密に言えば知らないのは私の意識

自己意識を越えた私の自我

自我になった私

私の存在はすべてを知っている

 

 

全知全能

 

太陽は馴染みがある

それでも詳しいことは分からない

お隣の火星でさえも分からない

私は狭い世界に生きている

 

「狭い」と言っても

理解と知覚の幅が狭いだけで

存在としての私は広大な世界に生きている

理解と知覚の及ばない広大な宇宙に

 

私の肉体は、存在は

人智を超えた宇宙の仕組みを知っている

科学では解明されない現象も法則も

何もかも完璧に

 

知るだけでなく、宇宙の仕組みと一つになる

私の肉体は、存在は

この宇宙のことすべてを知っている

だから私は生きている

 

 

見くびるなよ

 

存在に及ばぬ私の思考よ

私を見くびるなよ

私の存在を見くびるなよ

私の弱気よ、気の重さよ

私を見くびるなよ

宇宙創世からやって来た私を

すべてを越えてここに降り立った私を

歴史の先端、ここへ連れて来た現実を

 

狭い世界に生きている私の意識よ

私を見くびるなよ

人智を超えてここに降り立った私を

存在としての私を

存在に及ばぬ私の思考よ

私を見くびるなよ

私の存在を見くびるなよ

お前が私の何を知ると言うのか?

 

 

気楽さ

 

深刻になる

起きる思考と負の感情に生きれば

「思い通り」に生きれば

持っている知識だけで生きていると思えば

 

気楽さが出る

細胞に生きれば

微生物に生きれば

私を作る生命体に生きれば

 

気楽さが出る

太陽に生きれば

地球に生きれば

私を生かしているものに生きれば

 

人生の流れ、現れた現実、進化する世界

私にしているものに生きれば気楽さが出る

人智を超えた繋がり、人智を超えた事実

存在としての私に生きれば気楽さが出る

 

 

浮上

 

ジェットコースターに乗った子どもの私は

ギュッと握り締めて力を入れた

野球少年の私はぐっと歯を食いしばること

それを精神的な強さと誤解した

 

力を入れようとする

力を入れて上手くやろうとする

私には簡単で馴染みがあっても

それでは溺れまいともがいている

 

大切なことは意識の裏側

力を抜く

拘らない

気楽にする

 

その重大さは意図的な継続によって

初めて認識される

長い間知られることのなかった大発見になる

現実が変わる

 

力を抜く、拘らない、気楽にする

私の状態が現実を創る

私の中で革命が起きる

自分が何者かを知る時が来る

 

 

炎色反応

 

余所見をすればぼやける

誰かになろうとすれば消えそうになる

私が私であればハッキリとする

私が悦びから生きる時

奥底の良心から生きる時

純粋な白になる

 

私が怒れば赤になる

私が深刻なら青になる

私が笑えば黄色になり

私が穏やかなら緑になる

私はほのかな色

感情に反応して変色した粒子のゆらめき

 

世界はほのかな色、貝殻の色、油膜の色

絶え間ない生命のグラデーション

粒子のゆらめき

 

世界が反応した

私のゆらめきに反応した

私の色に同調し、私の変色に呼応した

 

 

エネルギー

 

曲が変わる

私の気分が変わる

私は音楽のムードに同調する

音楽はエネルギー、私もエネルギー

音楽が変われば私も変わる

 

現実は反応する

私のムードに反応する

私のムードに同調する

私はエネルギー、現実もエネルギー

私が変われば現実も変わる

 

私が変われば世界が変わる?

私の意識が変わる

イシキがもたらす世界が変わる

私とイシキ、私と世界の不思議な関係

私が変われば世界が変わる

 

 

創造主

 

ヘッドライトの明かりは窓を貫いて

天井を走って壁を抜けた

心を込めて情感豊かに歌うあの人は

影まで誠実で私の心を震わせる

三面鏡に映り込んだ私は

どこを見ても私で正しい

 

私の故郷は時速1600kmで自転し

時速10万7200㎞で公転する

故郷を含んだ世界は

時速86万4000㎞で銀河を周回し

銀河は227万1600㎞で重力源に向かう

それでもブレない

 

私の思考は頼りなく

心は浮き沈んでぐらぐらでも

存在はビクともしない

目の前のコーヒーもこぼれる気配さえない

朝起きても私の日常は少しのズレもなく

昨日のままここにある

 

この世界は理解を越えている

それでも完璧なことは知っている

人生のどこかで

完璧の意味を教わって来たから

その言葉がこの世界に

ぴったり当て嵌ることも知っている

 

私は足りない、できない

分からないことばかりで臆病で腰が重い

それでも私の存在と世界は全知全能で

私は神の世界を持っている

私は神のような人たちから教わり

神の世界に育てられて今日も少し大きくなる

 

大部分の水と、残りの蛋白質と

脂質と、その他でできた私の脳細胞が

私のすべてを創っているとは思えない

当たり前でも信じられない

いくらエゴがあると言っても

どうやって「それを信じろ」と言うのか?

 

分かる、分からないは

この際どちらでも構わない

それこそがエゴの態度

この世界を獲得したかった

創造主の気持ちで

今は味わいたい

 

 

回路

 

通ったことのない道で帰ってみる

見たことのない角度

見たことのない方向

いつもとあまり変わらない

ささやかな初めての景色

 

それでも起きている

デジャヴのような意識の錯綜

微かな眩暈

既存の情報に上書きされ

私の回路は繋がるのか

 

私は少し思い出す

触れたことのない感触

嗅いだことのない匂いに

幽かに太古の記憶が蘇り

私は魂の蓄積に触れる

 

大袈裟なものはいらない

知らない感覚を知る時

再生するように私は進化する

子どもが遊びから得るように

それはきっと私の理解が届かないところで

 

 

良心

 

嘘を吐くこと、嘘も方便まで知っている

真剣であること、楽しむこと

勇気を出すこと、努力すること

過ぎてしまえば及ばないこと

 

美しさ、強さ、優しさ

それらを求めること

大切にすること、粗末にすること

時にはウマくやること

 

何が良くて、何が悪いのか

何をすればいいのか

どこへ向かえばいいのか

私はそれらの価値と意味を知っている

 

辺境の銀河に生まれた一つの生命体が

細胞の蠢きがここまで知っている

人間の道徳を越えて知っている

習うことで経験することで知って行く

 

初めは何も知らない、真っ白なはずの私は

知るうちに知っていたことを思い出す

持つうちに持っていたことを思い出す

何も持たない者が何をすると言うのか?

 

 

言葉

 

言葉の始まりはどこか?

その問いは謎めいている

私の始まりはどこか?

その問いと同じくらい謎めいている

最も不思議なのは私に分からないこと

 

プードルとブルドッグと柴犬の違いから

どうやって同じ犬と認識したのか?

プードルとブルドッグと柴犬が同じで

アメリカンショートヘアは違うと

どうやってそれを認識したのか?

 

「あれがいぬ」と指差しで教わった時の

「あれ」をどうやって理解したのか?

「あ」でも「れが」でも「れがい」でもなく

「あれ」を知っていたのはなぜか?

指差しを理解したのはなぜか?

 

言葉を持たない者に言葉で教えるのか?

言葉を持たない者が言葉を理解するのか?

言葉の始まりはどこか?

私の中で湧き上がるように現れて消えて行く

浮かべるのではなく、浮かんで、消えて行く

 

私は始まりを掴むことができない

始まりと終わりがある

私のこの考えに問題があるのかもしれない

私には分からない

気づけば言葉も私もここにある

 

 

完璧主義者

 

いつしか目覚めていました

どうやって目を覚ましたのでしょう?

目覚めは難しいことです

目蓋が開いても始まりません

そこにイシキがなければ世界になりません

どうやって体を纏ったのでしょう?

単純な細胞でさえも創出は奇跡だと言います

マジックでも起きなければ生物になりません

計画書も設計図もなく、生体にはなりません

体が動きます

意図してから動いているのか

意図すると同時に動いているのか

私の理解を越えた仕上がりです

 

有史以前からの進化計画です

永遠の時、ずっと準備をして来ました

遂に目を覚ますその一点を狙って

体を纏った気分はどうでしょう?

特等席からの眺めはどうでしょう?

吸い込んだ空気の匂いは

地球に降り立った感触は

永年練りに練った力作揃いです

死ぬまで停止しません

精密に作られた心臓の鼓動は

臓器を持った気分は

イシキがもたらす世界

欠陥のない世界を所有する気分は

 

過酷な戦いでした

あなただけが全勝しました、他は死にました

厳密には生まれることさえできませんでした

生まれるには100%でなければなりません

誕生は完璧な勝者に与えられた特権です

宇宙創世以来、無数の選択肢がありました

あっちを選べば生まれない選択肢も

無数にあったのです

それにもかかわらず間違えませんでした

たったの一度も、です

だから体を纏い生まれて来ました

あなたは選ばれし者です

生きている気分はどうでしょう?

誕生できたあなただけの気分です

 

誕生以来、無数の選択肢がありました

あっちを選べば死んでいた選択肢も

無数にあったのです

それにもかかわらず間違えませんでした

たったの一度も、です

だからあなたは生きています

あなたは選ばれし者です

生まれる前も生まれてからも完璧です

これからはどうでしょう?

これからもそうかもしれません

生まれる前から完璧だったのですから

たまたま勝ち続けた?偶然に全勝した?

たまたまや偶然などあるのでしょうか?

宇宙はそれほど容易いのでしょうか?

 

 

天才

 

倦怠の泥沼、鉛の私はどこまでも沈んだ

終いには泥になり

虚ろに熱っぽい空気と吐き出した

「このままダメになっても構わない」

そこに光が射し込んだ

雲の切れ間から射すように霧が晴れるように

光はゆるやかでささやかなもの

それでも抵抗できない

寒い朝の陽射しのように私は反応している

 

素晴らしい音楽は自然と似ている

私と私の世界を変える

凄いのは素晴らしい音楽家で

私かもしれない

作曲できないだけで、演奏できないだけで

理屈を知らないだけで、私は知っている

素晴らしい音楽家と同じものがある

凄いのは知っていること

私の理解を越えて私が理解していること

 

天才と凡人の差は何だろう?

天才が世に出るのはなぜだろう?

かけ離れていれば埋もれている

同じものが私たちの中にある

私たちの中にすべてが

それが神と似ている所以かもしれない

私たちの中にあるものが待っている

形の世界が待っている

引き出してくれる時を、形になる時を

 

 

自分を知る

 

本能であり、特権であり、仕事かもしれない

自分を知ること

私が生まれた意味、私の適性

私の仕組み、私のルーツ

 

意気込んだものの雲行きは怪しくなる

暗礁に乗り上げる

退屈になって来る

苦痛になって来る

 

「分からない」

 

それは自分の大きさに対する

本質的な気づきかもしれない

存在の大きさを前に私は無力になる

それでもそこにいるのは私

 

あまり深刻になるのも可笑しい

背後にあるものに気づけば

俯瞰することができれば

独り、相撲を取るのも奇妙なことなのだから

 

私を通して知ろうとしているに過ぎない

自然は科学を通して、世界はヒトを通して

自分を知る、私も世界も同じ

そのためにここへ来たのかもしれない

 

 

公園

 

子どもたちが笑っている

子どもはすぐに走りたがる

何が可笑しいのか、追いかけ合って

「キャッ、キャッ」と声を上げる

 

喜びはずっと素朴なものかもしれない

何かがなければ喜べない

大袈裟な何かがなければ

複雑になってしまったのかもしれない

 

私は笑わない

笑う方が難しい

悦びから離れ、光から離れて来た

それが間違いの証拠かもしれない

 

歳を取るほど離れてしまった

子どもはずっと近い

自然に近い、魂に近い

処世術は持っていなくてもずっと原点に近い

 

私は原点を思い出せるのだろうか?

この顔とこの体とこの心で

形のあるこの世界で私を表現したかったこと

子どもの顔でここに来たこと

 

 

間違えるのは

 

必要なものが揃っている

不便を感じても暮らして来たのだから

ここは天体、私は細胞

私を生きる上で必要なものが揃っている

 

あれがない、足りない

思い通りにならない

それを言うのは私の思考と感覚

負の感情

 

自然は間違えない

世界は間違えない

間違えるのは私の思考と感覚

負の感情

 

世界は間違えない

細胞は間違えない

だから生きている

進化する

 

気づくかどうかそれだけかもしれない

必要なものが揃っている

ここは天体、私は細胞

今回を生きる上で必要なものが

 

 

テーマ

 

私の中心に言葉がある

常に私の中心にあって

私にさえも分かりにくいもの

私の人生のテーマ

 

子どもの頃から知っていた

「べき」「ねばならない」はないということ

それは絶対的価値と意味の不存在

虚しさのない自由か?

 

愛情だろうか?

友情だろうか?

勇気だろうか?

自由だろうか?

 

笑うこと、真剣であること

繊細さ、大らかさ

それらを獲得し、思い出し、表現すること

心の力を知ること、自分を知ること

 

幼い頃から知っている

ありのままの私を

今生で何を表現したかったのか

大切なことは子どもの私に聞けばいい

 

歳を取るにつれて

教育を受けるにつれて

経験を重ねるにつれて

ありのままから遠ざかって来た

 

外側にはない

テーマもありのままの私も

内側

向かう方向は元いた場所

 

 

逆算

 

この顔でこの体でこの心で

私は何がしたかったのか?

私に相応しいテーマは何だったのか?

 

私にしたのは誰だろう?

私ではない、親でもない

私にしたのは自然であり、世界かもしれない

 

私にしたものは、生かすものは

この顔でこの体でこの心で

私に何をさせたかったのだろう?

 

私に相応しい人生は何だろう?

逆算する方がよっぽど自然かもしれない

私の意図することよりも

 

 

伏線

 

目の前に広がっている

偶然性という可能性の選択肢

それを選び取る私の自由意志

選び取る時、偶然は偶然でなくなる

私は一本の道を行く

 

あなたと私

テーマの違う二つの人生が出逢う

私はあなたから受け取り

あなたは私から受け取る

必要がなくなれば互いに離れる

 

今も私は一本の道を行く

今も誰かに出逢う

私はあなたから何を得たのだろう

今の私にはいつも分からない

掴んだと思っても覆される

 

振り返った時に過去の点と点が繋がる

無関係のはずだった点と点が線になり

私はそこに隠された意味を見出す

人生は映画よりも奇妙なものかもしれない

エンドロールが流れる頃、私は何を知るのか

 

 

別れ

 

抗うことができるのか?

一方的なものがあるのか?

別れを告げる、告げられる

まるで加害者と被害者

 

別れたいとは思わなかった

身に覚えがなく別れを告げられた

それは表層から来るものかもしれない

僅かな嘘と心当たりに私は気づいている

 

別れ

それは自覚を越えたあなたと私の同意

意図を越えたあなたと私の共同作業

 

本心に嘘は吐けない

誤魔化しも遠慮もできない

同情や常識も通用しない

本心は融通が利かない

 

そのせいで誰かを傷付けたように見える

一部分だけを切り取れば確かに見える

全体として見れば加害者も被害者もいない

それぞれが本心の自分に収まろうとしている

 

別れ

それは自覚を越えたあなたと私の同意

意図を越えたあなたと私の共同作業

 

 

 

自我はとても臆病で

「認めれば無くなる」と思っている

自我になった私はすぐさま撥ね付ける

今の私ではないものを受け入れられない

 

安心感を与えて大人しくなってもらうか

いっそのこと置き去りにするか

いずれにしても現実的ではない

目障りなところがあっても自我は私の子ども

 

唯一抵抗できないものがある

私が本心から認める時、涙が流れる

親の涙に気まずくなる子ども

自我は何もできなくなる

 

私が過ちに気づき、「そうだ」と認める

本心からの同意

本心からの承認

本心からの懺悔

 

微かな抵抗も僅かな嘘もない

すべてを捧げるもの

私が本心から認める時、涙が流れる

私が涙を流す時、私が変わる、世界が変わる

 

 

不器用

 

随分遠回りをした

周りとは全然違う

何も持てなかった

要領が悪く、不器用で自分が嫌になる

 

人生は思い通りと聞く

私がこんな人生を望んだとでも言うのか?

ほとんど疑問のまま

それでも微かに思い当たる

 

派手なものよりも素朴なものに

成功よりも質の高い仕事に

結果よりも己の信念を貫く人に

要領のいい人はあまり好きにはなれない

 

そう言えば思い通りかもしれない

正確には信じた通り

ただ結果を貰っても喜べない

大切なのは途中で結果はその結果に過ぎない

 

口先で「結果がすべて」と言って来た

それでも信じていたのは途中だった

要領の悪さを嘆きながら

それでも構わないと信じていた

 

Es ist gut.

ある哲学者の最期の言葉が浮かんだ

そうか!

私はこれでよかったのか

 

 

スイッチ

 

終わりのない暗闇だった

今にして思えば誤解だった

私は他人と同じだと

斜陽する世界にいれば私の未来も暗いのだと

思いを越えて私はそう信じていた

 

ある時、気づいた

私は他人と違うのだと

たとえ薄情だと言われても

誰かの状態と私とは別なのだと

非常識でもこれは事実だと

 

本心からの気づきが起きる時、何かが変わる

そしてどこかで聞いた言葉が浮かぶ

「人生は思い通り」

私は「はっ」とした

言葉の綾に違いない、信じた通りだった

 

盲点が事実に照らされる時

瞬間的な気づきが訪れる

得心、腑に落ちる

それは私の信念、私の世界を瞬時に変えた

まるでスイッチのように

 

 

警告

 

外ばかり見ている

見ているばかりかなろうとしている

時流、普通

あるべき姿

 

「べき」「ねばならない」に心を許した時

ありのままの心を失って行く

私が私でなくなって行くのだ

「私でなくなる」とは私の消滅に過ぎない

 

「ありのままの心に戻れ」

サインは届いている

それでも外を見ている

現実は楽になるばかりか深刻になっていた

 

それでも外を見ている

それがサインだということにも気づかずに

まだ一般的であろうとしている

品行方正であろうとしている

 

「そっちじゃない!そうじゃない!」

ただそのことを訴えるために

姿のないものは手荒な手段に出た

苦境や不運に私を導いたのだ

 

心を蔑ろにした結果だというのに

まだ外を見ている

すっぽりと抜け落ちている

私は心の力を、悦びの力を知らない!

 

いよいよ気づくのか?

その状況の意味

送られて来る警告

警告の出所

 

ありのままの心を生きること

本心が、私の状態が現実を創ること

それともただ苦しみにのた打ち回り

外を見たまま消滅するのか?

 

 

魂は泣いている

 

声の届かない場所

永遠にも思える時間

その時が来るのをただ待つ

正気と狂気が入り混じり

私なら喉を掻きむしる

 

私の声は届かない

自我になったあなたには届かない

細胞の声も心の声も

魂の声も届かない

誰でもないあなたの魂の声が

 

魂は泣いている

悦びを生きたい

素朴な悦びを

軽やかな悦び

「清々しい」に似た悦びを

 

魂は泣いている

悦びを生きたい

あるべき姿は要らない

低俗も高尚もない

肩書きも要らない

 

魂は泣いている

悦びを生きたい

自覚?覚悟?責任?

野暮なことは言うな

私は良心なのだ

 

魂は泣いている

あまりにももどかしい

良心といえども耐え難い

愛情といえども嫉妬する

あなたの自我に

 

魂は泣いている

あなたを生きたい

世界が与えたあなたを

誰でもないあなたを

ただあなたでありたい

 

やっとここまで来られたのに

空を大地を

地球を宇宙を

肉体を手に入れたというのに

後ひとつ足りない

 

目覚めがない

あなたは自我のなすがまま

存在と意識は離れている

魂の声は届かぬまま

あなたは意識の世界を彷徨う

 

 

イシキ

 

完全な闇、ここにいる感覚

あるのはそれだけ

それは中身のないいつものイシキ

 

魂は待ち焦がれていた

身の捩れる感情は降り積もる

私の殻が破れる、その時を狙って

 

主人公が替わる

あの闇にいた私がこの体を纏い、生きて行く

悠久の時を越えてようやく今がその時

 

「ああぁ… やっとここまで来られた」

溜め息と吐き出された渇欲する声

私のような声が深層から聞こえて来た

 

歳を取るとしか思わなかった

細胞は宇宙の鼓動に共鳴し

私の知らないところで粛々と仕事をして来た

 

意識は神の意志で成長し

私は世界に育てられてここまで来た

今、人類はエゴから目を覚まそうとしている

 

 

守り手

 

ここを通る度に私は一羽の鴉を探す

街路灯に留った鴉は獲物を狙う訳でもなく

辺りをじっと見ているのだ

今日は酷い雨、流石にいる訳はないだろう

と思いながら少し期待した

するとそこにいた

 

横殴りの風も叩きつける冷たい雨も

鴉には存在しない

まるで無造作に捨てられた傘

晒された黒い塊

何かを待つように監視するように

じっとしている

 

修行僧のようなあの厳しい姿に

私は敬意を表さずにはいられない

理解できないだけで感じられないだけで

未知の世界があっても可笑しくない

鴉は仕事をしている

私の知らないこの世界の守り手

私にはそう見える

 

 

ポータル

 

私にはこの世界が一つですべてだった

この世界ではない世界を

あの世界と呼んだ

それだけのことだったのかもしれない

片田舎の小さな書店が

私にとってのこの一冊が

あの世界へのポータルとは思いもしなかった

 

世界のユーモアは大胆なところにある

捉えようによれば門戸は誰にでも開放する

ということかもしれない

それでもあまりに堂々と口を開けるその姿に

二ヤリとせずにはいられなかった

私の可笑しさを余所に人々は通り過ぎて行く

私は世界の気持ちが少し分かって我に返った

 

ポータルは形であり、意識とも言える

形のポータルはどこにでもある

大自然の中でも、大都会の中でも

ある人にとってはパソコンの中かもしれない

形はそこら辺にあってハードルは低い

それでも意識の準備がない人には高い

常識の信者にはそびえ立つ壁

 

世界は壁を築く

例えば悟り、宇宙、神という言葉で

そびえ立つように見えても薄い

微かな心の共鳴があればあの世界と繋がる

それでも人々は通り過ぎて行く

世界は意識のポータルを越えた者しか

受け入れない

 

 

ゆめうつつ

 

鳩は平和のシンボルと言われる

それでもあの声には幽玄なものを感じる

夢か現か、朝焼けの中であの声がした

白昼夢のような子どもの景色

 

私は夢の中で夢と気づいた

だから目を覚ますことなく夢を楽しんだ

私は現実の中で現実と気づいた

だから目を覚ますことなく現実を楽しんだ

 

私を生かす者がいる、導く者がいる

それを主と呼ばずして誰を主と呼ぶのか?

魂は生まれることも無くなることも知らない

これまでも今も、これからも私

 

永遠の私にとって現実は瞬き、儚い夢

主が生きる世界を夢と呼び

従いて行く者が生きる世界を現と呼ぶ

そんな不条理が許されるのか?

 

現実が夢なら

それでも深刻になってばかりいるのか?

貯えてばかりいるのか?

「もう遅い」と言うのか?

 

現実がなりたい自分になれる夢なら

それでも嘆いてばかりいるのか?

一般的であろうとするのか?

今の生き方を続けるのか?

 

私は夢の中で夢と気づいた

だから目を覚ますことなく夢を楽しんだ

私は現実の中で現実と気づいた

だから目を覚ますことなく現実を楽しんだ

 

 

木の実

 

登場人物は必要な時に現れる

登場人物はあなたの力になる

あなたは登場人物から受け取る

 

登場人物は嫌なこともする

今のあなたに分からない

未来のあなたが理解する

 

登場人物はあなたに与える

あなたのテーマに沿った何かを

登場人物の意図を越えて与える

 

あなたは登場人物に与える

登場人物のテーマに沿った何かを

あなたの意図を越えて与える

 

受け渡しは同時に起きる

世界は関係性で成り立っている

まるであぶれるピースのない立体パズル

 

意識を持つ人はその人の世界では主役で

お互いが自分の人生の主役で

他人の人生の脇役とも言える

 

本心にありのままのあなたがいる

本心からの思いは実現する

この世界はなりたいあなたになれる世界

 

私はビゼーのあの歌を思い出していた

「坊や、強く生きるんだ

広いこの世界、お前のもの」

 

 

利用

 

365日年中無休

24時間営業中

リーズナブルな価格帯

アクセスも抜群

経験豊かな指導者が常駐

バラエティーに富んでいて

レベルもお好みで無段階調整可能

 

ここは成長に適した環境

私の好奇心、欲求を満たしてくれる

いつどんなものへ乗り換えても構わない

一生かかっても制覇などできない

万が一、しそうになれば

無限に湧き上がる創造の泉

今ここからまた世界は拡がる

 

張り合おうとしない

一番になろうなどとは思ってもいけない

私が持っている神の世界

その優れた住人と張り合っても仕方がない

張り合うためではない

彼らは神の使い、あるいは八百万の神

一時的な私の指導者

 

新しい世界で上手くやるには比べない

それは私に仕掛けられた罠

残滓でもしぶとい

私を以前の世界に戻そうとする

上手くやる秘訣は有り難く受け取り

遠慮なく利用することかもしれない

これは私に与えられた恵みなのだから

 

 

猫町

 

私有地であろうと猫には関係ない

それでも怒りもしない

猫とヒトがうまく共存している

私の町ではどうだろう?

侵入されようものなら苦情が出る

飼い主の責任が問われる

「これは問題だ!問題だ!」と騒ぎになる

 

問題とは何だろう?

問題が生まれたのはなぜだろう?

問題にしたのはヒトかもしれない

初めから問題はなく、初めから意味はない

出来事がある

ヒトは出来事に意味を与え

与えた意味を引き受ける

 

猫が棲み付く場所は暮らしやすいと言う

ヒトも暮らしやすいのはなぜだろう?

猫には不思議な力でもあるのだろうか?

私はふと気づいて納得した

猫がいても問題にするヒトがいないからだと

問題を作るヒトがいない、問題の少ない場所

それはヒトも暮らしやすいに違いない

 

 

ガガンボ

 

その華奢な脚から生まれる激烈な振動に

私は目を奪われた

求愛行動なのか?準備運動なのか?

生きている喜びの表現なのか?

 

秋の虫が鳴いている

そこに場違いな産声を上げた

「みーんみんみんみんみー」

何ともばつが悪い

 

あの蝉は出遅れた間抜けなのか?

気の毒で憐れな蝉なのか?

それとも仲間が死に絶え

光のない世界に敢えて現れた勇者なのか?

 

私を誘う子どものようなヒタキの声

私の心を砕く音にならないあの鳩の声

夜通し翅を擦り合わせる健気な秋の虫たち

どれも私の物語に過ぎない

 

勝手な物語を作るとしても

実体に対する事実の注釈が要る

「※○○だと考えられています」と

私は自ら与えた物語を生きている

 

あるいは誰かの物語を引き受ける

私には誰にも侵害されない特権がある

解釈できること

私は自由に意味を与える

 

出来事に意味を与え、意味を受け取り

意味の世界を生きる

私は何度も再構築する

何度も新しい世界の主人になる

 

 

やればやるほど

 

やればやるほど下手になっても構わない

やってもやっても変わらなくても構わない

やればやるほど上手くなる

 

「失敗した」と思っても新しい経験にする

「八方塞がりだ」と思っても過ぎ去る

「方向転換した」と思っても進む

私は前進する

 

やればやるほど下手になっても構わない

やってもやっても変わらなくても構わない

やればやるほど上手くなる

 

これは私の特殊能力か?

この世界の自然傾向か?

それでも私は浅はかで

この特殊能力を相手にしない

 

「まだ進まないのか?」と苛立つ

形になって来ないと焦る

思い通りでなければ嫌気が差す

怠惰になる、諦める

 

前に進むはずのものはそこで止まった

私は調和しない

私は私と

私はこの世界と

 

 

待ち人

 

無いものは在るのか?

想像できるとしたら無くても在るのか?

無いものは在るのか?

想像できるとしたら在るものになるのか?

 

無いものが在るものになる

その確証がない中で

無いものが在るものになるまで待つ

というのは根気がいる

 

いつまで生きられるか分からない

次の瞬間にはいないのかもしれない

その実態の中で待つ、というのは勇気がいる

知らないからこそできることかもしれない

 

実力が付いたら

自信が付いたら

目処が立ったら

無いものが想像通りの在るものになる

 

私はその時を待っている

その時が来てからやろうとする

訪れるかどうかも分からない時を

私は待っている

 

 

スランプ

 

うずくまったままだった

私の前に立ちはだかり

重く伸し掛った

振り返ればやればよかったのだ

 

これをするにはあれくらいかかる

厄介なことになる

私にはできない

できそうにない

 

当てにならない

私の判断、私の恐れ、気の重さ

現実はそれを越えて来る

最大限に尽くせばよかったのだ

 

世界中の人々が今日も仕事に向かう

初めての仕事、一番難しい類の仕事

程度に違いはあっても誰もが同じ

今日が進化する世界の一番先端なのだから

 

望んだ仕事をする人、しない人

いずれにしても仕事は難しい

誰もがベストを尽くす

最大限に尽くす時に終わりに向かう

 

世界中の人々が証明している

家を出て仕事に向かった多くの人々が

一番難しい仕事にもかかわらず今日も帰る

いつまでも帰られない人を私は知らない

 

 

豊かさ

 

額に汗して丹精を込めたあのトマトが

あの値段に等しい訳がない

命懸けで荒海に繰り出し

熟練の技で仕留めたあの魚が

あの値段に等しい訳がない

豊かさはお金で計れない

 

それでもお金を見ている

私は狂っているのか?

豊かさはお金だけじゃない

当たり前のその事実を鼻で笑うほど

信念の力は凄いと言わざるを得ない

不実であっても信じた世界を生きるのだから

 

幼い頃の話を友達がしてくれた

「世のために働いた報酬として

天からお金が降って来ると思っていた」

子どもの友達はお金と表現した

それでもやっぱり子どもは知っている

豊かさは世界から来る、ヒトの形の後ろから

 

私の尽くした仕事に世界が応える

「あの人から返って来ない」

「まだ返って来ない」

「これでは足りない」

「割に合わない」

私がそれを知らなくても

 

 

大切な方

 

子どもの顔で追いかけた

その時、私は驚いた

私を夢中にさせる音楽にじゃない

悦びの感情に

私がそんな心を持っていたことに

 

何かにすがり、私が祈る時

奇跡が起きた

その時、私は驚いた

何かの力じゃない

私が祈りの力を持っていたことに

 

科学的アプローチをする現代のアスリート

どんなに偉大な選手でも最後に口にする

「自分を信じて」

科学的根拠はなくても

彼らは経験的にその力を知っているのだ

 

思いや言葉は小さなものでも力がある

洋服が、高層ビルが、この街が

私たちによってもたらされた物が証明する

思いのこもった物は捨てられない

その力のことを私も確かに知っているのだ

 

何を信じるかではなく

何に祈りを捧げるかではなく

何に悦びを感じるかではなく

大切な方は私が持つものかもしれない

悦び、祈り、信念、思いの力

 

 

タイムラグ

 

この瞬間に変わる

この瞬間から変わる

歳を取り過ぎた、やり直すには遅すぎる

そんな人生であっても

 

今は過去

過去の信念、感情、思考、行動の結果

人生を変えたければ今と闘わない

怒りと悲しみが未来の今になるのだから

 

この瞬間に変わる

この瞬間から変わる

人生を変えたければこの瞬間に悦ぶ

それが未来の今になるのだから

 

「何もない」と思えても何かある

「何もない」と言うのは自我の声

黒一色に染めたがる自我を余所に

事実をありのままに見る

 

プラスの要素が見つかる

些細なことでも受け入れる

自我の抵抗を余所に恵みを認める

そこに悦びが生まれる

 

人生を変えたければこの瞬間に悦ぶ

本心から

心が変われば、今変われば

その分、未来の今は変わるのだから

 

 

二重取り

 

自我は私から今を奪った

怒り、悲しみ、恐れを使って

自我は私から未来も奪った

私から今を奪うことで

 

 

未だ見ぬもの

 

見えないものを信じるのは難しい

過去は見える、今は見える

それでも私は向かう

見えない未来に向かう

 

見えないものを信じるのは難しい

落ち着きのなさが付きまとう

私の根底にあるもの

過剰な自己愛から来るもの、恐れがある

 

未来の私がいる

知らない私に出逢う

知らない私を引き出す

それが創造かもしれない

 

誰もが創造する

見えない未来に向かう

それが自然の姿だというのに

なぜ恐れが付きまとうのか?

 

未来を信じるのは難しい

それができなければ望む未来はやって来ない

落ち着きのなさが、恐れが、疑いが

未来の今になるのだから

 

未だ見ぬものは落ち着かない

錯覚にも似たその感情を突き破る勇気が要る

未だ見ぬものを信じろ

見覚えがなくてもそこにいるのは私なのだ

 

 

勇気

 

何がいいかは知っている

先まで分からなくても浮かぶものがある

そこに思案がやって来て私は迷いに入る

それを振り切るには思い切りが要る

行動に移す瞬発力、少しの勇気が

 

ここぞという時に私はこの瞬発力を発揮する

恥を忍んで何かをする時

ぐっと耐えて突き進む時

覚悟を決めて飛び込む時

私は勇気を学ぶ

 

学ばなくても知っている

行動しなくても想像がつく

それでも行動しなければ学びにならない

私を見ているものは認めない

次の扉は開かない

 

 

展開

 

止まっていた歯車が動き出す

すると他の歯車も連動する

私が動くと世界が展開する

手を付ける、歩み始める、言葉で伝える

思いを行動に移す時、人生は展開する

私だけではなく、世界も動き出す

 

私が鈍い、というよりも

展開はあまりにも高度で滑らか

仕組みも方法も

運ばれている事実さえも私は知らない

それでも確かに知っている

行き着く先は本心から望んだ場所

 

最大限に尽くす時、終わりに向かう

困難に思えても今の私で乗り越える

この世は本心から望んだ私になれる世界

私の仕事は今ここで最大限に尽くすこと

「人事を尽くして天命を待つ」と言う

展開は世界の仕事

 

 

人事を尽くす

 

気が重くても取り掛かる

体勢を取る、着席する

大切なことはその僅かな行い

一瞬先、それさえも分からないのだから

私にできることはその僅かな行い

そこから先は未知の世界

 

席に着けば運んでくれる

世界は進んでいるのだから

それでも自分の足で行かなければ

乗り場までは行かなければならない

いくら世界は展開すると言っても

私が動かなければ世界は連動しない

 

席に着いたら一途にやる

最大限でなければ達成に向かわない

上手く行かなくても行くように

思い通りではなくても

スムーズではなくてもやる

それくらい私にもできる

 

怠惰、恐れ、疑い、悦び

感情と思考はやって来るもの

離れたところから見て選び取る

大切なことはその僅かな行い

それくらい私にもできる

今の私でできるのだから

 

 

当惑

 

ある目的で旅に出ました

旅すがら色んな人に出会いました

お世話になったお礼に困り事に応えたり

意気投合して旅に加わる仲間ができたり

旅はさながら冒険のようでした

 

最も衝撃的だったのは

ある日、世界が私に近づいて来て

啓示を与えてくれた事です

私が生きて来たこの世の外側に

この世ではないあの世が出現したのです

 

私は知ってしまいました

私はプレーヤーではなく

ゲームの登場人物だったのかもしれません

自分の意志で生きて来た

それはつもりだったのです

 

生きていたのは私ではなく細胞だったのです

私が人生を切り拓いたのではなく

私の前に人も出来事も現れたのです

私が眠っている間も細胞は生きて

地球は生きて世界は進んで来たのです

 

私がいくら「太陽と共に暮らす」と言っても

太陽も地球も細胞も

休む事を知らずに働くのです

私ではなく

私を生かすものが私を生きていました

 

あの世とこの世の関係性で言えば

プレーヤーはあの世の私でこの世の私は

ゲームの登場人物だったのかもしれません

私は騙されたような気持ちになって

寂しくなりました

 

混乱しながらも少しだけ冷静になれたのは

どこかでこの事を聞いて知っていたからです

これが目を覚ます事かもしれません

先人たちの多くは

ここまで来られなかったのでしょう

 

私はまだ生きています

私の旅は途中です

それでも霧のように消えてしまいました

当初の目的、私の人生、私自身

私はこれからどうすればいいのでしょう?

 

 

孤独

 

孤独ではいられない

孤独でしかいられない

孤独感は幻であり、現実かもしれない

 

深い孤独感、本質的な孤独感

イシキの孤独

まるで創造主の孤独

 

私は深く理解する

「嘘も方便」

必要なものはすでに受け取っていたことを

 

微かな指針

本心、良心が力になる

愛情の力を思い出す

 

孤独感は本質的なもの、消えたりはしない

それでも悦びが上回る

まるで子ども、遊ぶ為にここへ来たのだから

 

 

白紙

 

取り去ることを知らずに

一部になるまで刷り込んで

後から取り去る

身に付けておいてすべてを捨て去る

 

創造と解体は自然の姿でも

負の感情と思考には途方もない

私は言った

「できる訳がない」

 

それでも進むためにはせざるを得ない

お金の価値、幸せの形

比較、あるべき姿

少しの拘りも未練も消さなければならない

 

それができなければ

ここに来た価値がない

ありのままの私にはなれない

魂さえも望んだ目的は果たされない

 

負の感情と思考は言う

「とんでもない後戻り」

「進んでおいて戻るなんて耐えられない」

「今までの人生は何だったのか?」

 

負の感情と思考は知らない

後戻りがないことを

やり直しがないことを

進化を続けることを

 

私の存在は知っていても

私の意識は知らない

「できる訳がない」と言って来たことを

それを越えて来た事実を

 

 

双子

 

ある日、世界が近づいて来て

私に一度きりの景色を見せてくれた

目の前に私がいる

いつものようにもがいている

側にもう一人私が立っていて

もがいている私をじっと見ていた

何かのタイミング、魂の成長を見ていた

私にはもう一人私がいた

世界にはこの世界ではない

あの世界があったのだ

 

母の愛情と底のない忍耐力で私を導いた

片時も私から離れず、魂の成長を見て来た

そして最初で最後の姿を見せてくれた

私には双子の兄弟がいた

この肉の眼には映らない

この皮膚では知り得えない

心得顔の私には分からない

もう一人の私、魂の私がいたのだ

世界にはこの世界ではない

あの世界があったのだ

 

 

全身全霊

 

自ら袋小路に入ってしまったのか?

それでも凄いところはそれが何であれ

信じた世界を生きることかもしれない

ここではないどこかに

見たことのないユートピアがあると

それこそが幻を見せる者の正体だというのに

 

誰も気づかずに通り過ぎて行く

私たちには複雑で難解なものほど丁度よく

シンプルなものほど遠い存在かもしれない

この世界は大胆で、少しユーモアがある

何の捻りもない剥き出しの事実が

まるでシュールなものとしてそこにある

 

全身全霊

その言葉が私の仕組みを表している

全身全霊

それは体の私と魂の私

一瞬の私と永遠の私

私の主は姿のない私

 

燃やすものでも込めるものでもなく

果てるものでも尽きるものでもない

今までも今も、これからも私

留まることを知らない

それはまるで進化し続けるこの世界

主を知った私は全身全霊で生きて行ける

 

 

降りて来る

 

私の仕事

数値化し、正確さを狙い

セオリーに基づいて組み立てる

九分九厘完成した頃

最終判断は直感に任せる

残りの一厘は九分九厘と同じか

それよりも重い

 

「メロディーが降りて来るんだよね」

音楽家のその言葉は私の直感と似ている

熟考とは別の

一瞬の導き、一瞬のアイデア、一瞬の承認

それに従えば上手く行く

それはなぜだろう?

それはどこから来るのだろう?

 

どこかからやって来る

私の意図の届かないところから

「どこか」と言っても自我とは違う

記憶の蓄積でもない

私以上に私を知っているどこか

私の創造性を超えた何か

私以上の何か

 

降りて来る

どこかからやって来たメッセージを

私が受け取る

メッセージに従い、形の世界に形を与える

降りて来る

この言葉に重要な何かを感じる

私の直感がそう言っている

 

 

たまゆら

 

見ている世界と見えている世界は違うのか?

鏡に映らなくても私からは見えている

私の眼から伸びるように現れて

視界の隅をゆらゆら流れて消えて行く

それはまるでこの世に存在する淡い蛍の光球

 

無心に取り組む時、疲れている時

ふっと力を抜いた時、やって来てくれる

私を労い、励ましてくれる

それはまるでこの世に存在する

擬人化されたあの天使のように

 

意識の変容が?光球の存在が

この世とは別のあの世を見せてくれる

あの世があるからこの世だったのだ

私は見えないところで励まされ、守られ

導かれてここまでやって来た

 

 

常識

 

教科書を疑え

常識に囚われるな

偉人たちは出し惜しみをせずに教えてくれる

それでも耳を貸さない

ありふれた言葉に込められた想い

シリアスなメッセージを受け取れない

 

すでにあるものを習得しようとする

すでにあるものは間違いないと信じている

私は完成していると思っている

本来のないものに「本来は」と言う

絶対ではないものを絶対視する

私は常識を越えられない

 

偉人たちはかつて熱心な常識人だった

それでも求めたものは得られなかった

そこから良識を使って疑い、心の中で捨てた

常識とは何だろう

ダメでもなければよくもない

質の高い仕事をする為の越える為の印なのか

 

 

超人

 

誰もが内側にいた

内側という意識はなかった

存在は知っていても意識は知らない

大半は上手くやろうとした

すでにあるものを習おうとした

 

一番になろうとした

優秀であろうとした

普通であろうとした

他の人たちは抵抗した

諦めた

 

風変わりな人がいた

習っても創り出そうとしていた

自分の中から導き出そうとしていた

知らない間にこの世に一つを生きていて

外側を知りつつあった

 

創造性の発端

閃きの出所に意識を這わせていた

この世界とあの世界

超人は世界を股にかけた

意識が繋がったのだ

 

意識的に全体の参加者にもなった

進化する世界の子どもとして

全体が歓ぶ仕事をした

世界が味方をしてくれる仕事

世界と一つになって創造的な仕事をした

 

 

無風

 

まるで無音、無風状態

世界が私を通して仕事をする時

私は静寂に包まれる

止めどない思考の流れ

感情のざわめきが途切れる

 

事実、静寂にもなる

まるで死んでしまったかのように

訪問者はパタリと途絶え

音信も気配もなくなる

あるいは私だけが死んでしまったかのように

 

あまりの静けさに少し戸惑う

それでも不安や疑いのない戸惑い

どうすればいいのか分からない

それでも何とかなることは知っている

子どもの戸惑い

 

すべてを預けられる

これ以上ない大義名分がある

私の意志と世界の意志が一つになるのだ

世界が私を通して仕事をする時

私は静寂に包まれる

 

 

帰属

 

自分のものにも隠しておくこともできない

生かすものが許さない

それは生かすものに属する

 

秘蔵の作品や書簡、日記がある

他人の手が入り、世に出る

「本人の意向が汲まれなかった」と言われる

 

生かすものは良心と同じかもしれない

価値のあるものは広まる

必要なところに届く

 

誰かの光となり、種となる

当事者の意図を越えて拡がる

世界はまた進化する

 

自分のものにも隠しておくこともできない

生かすものが許さない

それは生かすものに属する

 

 

メディア

 

「師を追うよりも師が追ったものを追え」

ヒトよりも信じられるのは仕事かもしれない

素晴らしい音楽も映画も

「作者を知らなければよかった」

と思うのはそのためかもしれない

 

ヒトよりも信じられるのは為された仕事

もたらされた作品

ヒトよりも信じられるのは

生かすものかもしれない

 

生かすものとは何だろう?

それを断言できれば私は神かペテン師になる

生かすものとは血の気を与え

維持するように私を成長させるもの

 

作品は誰のものだろう?

作者のものか?

作者は誰のものだろう?

生かすものか?

 

生かすものは信用できる

生かされる者よりも

仕事は信用できる、為した者よりも

私たちは生かされる者であり

メディアに過ぎない

 

 

勇敢な臆病者

 

体の方は足りない

臆病で深刻で

まるでエゴのような醜い影

魂の方は完全で勇敢で軽やかで

まるで良心のような純粋な光

 

勇敢な臆病者、エゴに囚われた魂

知らないところで知っている

知らない人は誰もいない

誰もが参加者

人類の進化計画への、世界の進化計画への

 

何と勇敢なことだろう!

あらゆるものを犠牲にしてまでも

人類の共通課題、諸症状を見せてくれる

それでも他人事ではなく

私はあなたに自分を見ている

 

あなたはあなたのテーマを生きている

私は私のテーマを生きている

あなたは私のテーマに沿った何かを

私はあなたのテーマに沿った何かを

互いに意図を越えて与え合う

 

エゴの眠りから覚める人、覚めない人

上下も優劣もない

知らないところで知っている

誰もが参加者

人類の進化計画への、世界の進化計画への

 

 

健忘

 

昨日も懸念された、その前も懸念された

今日も懸念される、きっと明日も

何を恐れていたのかそれさえも忘れ

私は新しい懸念に囚われる

 

最初から上手く行かない事を忘れる

終わらなかった事は

一度もなかった事を忘れる

すべてを越えてここにいる事実を忘れる

 

笑い合った事を忘れる

愛情をくれた事を忘れる

尽くしてくれた事を忘れる

些細な言葉で無きものにする

 

思考の力を忘れる

言葉の力を忘れる

信じる力を忘れる

悦びの力を忘れる

 

本心の力を忘れる

私と世界の関係性も

何をしにここへ来たのかさえも

自分の正体さえも忘れる

 

 

魂について

 

分からない、それでも言葉にする

あたかも存在するかのように

有り難いものを扱うかのように

 

フリをしているだけなのか?

心から信じているのか?

細胞のどこかで知っているのか?

 

魂について歌手は歌い、詩人は語る

全く荒唐無稽なものなど存在できない

この宇宙は厳しいのだ

 

魂とは何だろう?

心のことか?精神のことか?

あの世で生きている私のことか?

 

魂とは何だろう?

私を包むもの、イシキのことか?

それらのすべて、私のことか?

 

 

 

私が走れば誰か死んだ

私が食べれば誰か死んだ

皮膚は剥がれ落ちて再生した

私は死んでまた生まれた

Mortal …死は免れない

 

世界に投げたものを受け取る

仕組みは知っていても助けられない

助けたくない

可愛がりながら一方で殺した

私は自己矛盾、コントラスト

 

仕方がない

目を背けているだけかもしれない

悪気がない、踏み潰したように

聖なる者などいるのか?

Mortal…死は免れない

 

いつか肉体を失う

それでも私の視点

主観と呼ばれるこの視点は変わらない

眼がなくても体がなくても

私はイシキ、私は魂

 

愛情を与えながら奪った

奪ったように奪われるのか?

「美味しいね」と言われて

「ああ不味い」と言われて

「鬱陶しい!」と言われて

 

踏み潰したように

木を切ったように

蠅を殺したように

決めたように

何も知らずに

 

私は自己矛盾、生まれて死ぬこのサイクル

死に際に何を見るのか?

愛情をくれたあの人を

毎日食べている手料理を

思わず遮った光、青い空を

 

 

視点

 

駆け回った頃も

座ってばかりの今も

そして夢の中でも

変わらないものがある

 

諸行無常に例外があるのか?

宇宙のような無極の深淵

いつもの定位置に私はいる

それは主観と呼ばれる私の視点

 

永久の時

永遠の孤独

無限であり、すべてであるあなたは

寂しさの感情を持っていたに違いない

 

父の厳しさも、母の優しさも

兄弟姉妹を想う気持ちも、騒々しさも

友情も愛情も温もりも

何もない暗闇

 

いや、すべてがある暗闇

どれほど退屈だったことだろう?

天才のあなたは問いと答え

願いと願われるものを同時に持つのだから

 

いよいよその時がやって来た

敢えて不自由な

終わりのある形を創り出す時が

やがて時は経ち、私が見ている世界を築いた

 

いつかこの体から降りる時が来る

それでも古い恐怖心とは違う

今回が終わってもまた暗闇に帰るのだから

いつもの定位置に私はいるのだから

 

 

無極世界

 

現れる

現したのではなく、現れる

考えも感情もヒトも出来事も

現れたものがきっかけとなり

私の人生は展開する

 

心の袋小路は何度も現れた

私はその度に忘れた

存在としての袋小路がこの世にあるのか?

八方塞だと思っても何かが現れる

だから私はここまで来たのだ

 

人類の歴史を超えて世界は進んで来た

人類の理解を超えて世界は今も拡がる

私は知っていても

存在は果てを知らず

私の世界は拡がる

 

考えが現れない

感情が現れない

何も起こらない

どこへも行けない

行き着いた先に何もない世界があるのか?

 

 

部屋

 

私は私の部屋の中

あなたはあなたの部屋の中

誰もが部屋の中

それぞれの世界を生きている

 

イシキを通した世界を生きている

別の部屋の住人が1つの世界を共有する事

それは途轍もない

途轍もない事を自然に成し遂げる

 

自然がいかに途轍もない事か

イシキの凄みに近づく時

世界は少し鮮やかになる

そして私に微笑む

 

自然が神と呼ばれるのは納得できる

イシキは神と呼ばれるのが相応しい

細胞が、天体が、大気が、時空が

宇宙がそこにあるのだから

 

何を所有するかではなく、世界を所有する事

事の重大さを知る時

私は思わず口にするのかもしれない

「これ以上何を求めるのか」と

 

 

車窓

 

人生のように過ぎ去る

目で追うことさえままならない

留めておきたいと思う

ムキになって見ても疲れる

 

車窓の景色は過ぎ去る

イシキの世界は無欠で

私にはあり過ぎる

とても情報処理できるものではないのだ

 

これで終わりと知れば

どれほど見ていたいだろう

これで終わりと知れば

どれほど触れていたいだろう

 

たとえ所有できなかったとしても

所有するものが満足から程遠くても

私はどれほど見ていたいだろう

硝子玉のようなこの二つの眼で

 

目蓋が開いても始まらない

そこにイシキがなければ世界にならない

私はこの世界をどれほど欲していたのだろう

イシキがもたらす世界を

 

 

広くなる

 

私は誰だろう?

37兆とも言われる細胞

100兆を越える微生物

私を作る有機物か?

 

「我思う故に我あり」

私は思考か?私を悩ませる思考なのか?

いや、私は見ている者

クヨクヨする私を見ている私

 

私は私か?

氏名の付いた私、体を持った私

いや、私は部屋かもしれない

体の周りにあるもの、世界かもしれない

 

私は世界か?

イシキがもたらした世界なのか?

いや、中身のないイシキそのもの

主観と呼ばれるこの視点かもしれない

 

変わることのない視点、位置

一瞬後でも先でもない

そしてどこかでもない場所

私は今ここか?

 

エゴが力を失う時、私は広くなる

私は後ろへ

私よりも後ろの私へ

私は拡大する

 

 

安らぎ

 

私が求めていたもの

それは安らぎだったのかもしれない

安らぎを得るのに何がいるのだろう?

丈夫な体、若さ、美しさ

十分なお金、繋がり、愛情

 

何かを得ることで安らぐ

何かを得たいのではなく、安らぎたい

名前や意味や情報や物語

考えや感情や役割や責任

あらゆるものから解放されたい

 

何かを追うのではなく

何かになるのではなく

何かをするのではなく

あること

ある者としての私

 

あらゆるものを見る私

私さえも見る私

ただ世界を持つ者

世界を持つ者の視点

ここは何と贅沢な空間だろう

私は安らいでいる

 

この私を誰が無責任と言うのか?

逃避と言うのか?

責任も無責任も、良いも悪いも越えて

すでにここにいる

不老不変の感覚、ある感覚

永久不変の位置、主観と呼ばれるこの視点

 

若さは失う、美しさは失う

健康もお金も繋がりも愛情も

やがては失う

失わないものに生きたい

変わらないものに生きたい

変わらないものが確かにここにある

 

 

不確か

 

普通も平均も関係ない

他には存在しない

私は初めての私なのだから

それでも関係ある

全く関係ない訳でもない

 

私は繋がりを生きている

孤独ではいられない

それでも孤独でしかいられない

私は私をやめられない

どこまで行っても私は私の部屋の中

 

真実など分かる訳がない

私でしかないのだから

私には何も掴めない、何も分からない

と極端なことを言うのも違う

分かることもある

 

意味があるようで意味がない

情報は後付けされた人間の物語

意味がないようで意味がある

だから白日の元に晒される

世界には世界の道理がある

 

向かうと同時にやって来る

考えも感情もヒトも出来事も

自覚と無自覚

自由意志と押し付けられるもの

過去と未来の間に私は生きている

 

確かに体は今を生きている

それでも意識はどこかを生きている

エゴが理想の中に私を閉じ込めたのだ

それでも理想がなければ進化しない

創造にはビジョンがいる

 

エゴの幻想を打ち砕き

今を生きる必要がある

それでも理想を掲げなければならない

一体どちらが正しいのか?

何が正しいのか?

 

私には納得できない

曖昧さ、矛盾という一つの形を知らない

正しさと間違い、好きと嫌い

私は分けたがる

断言したがる

 

悪いのはあの人で苦しみの原因は相手にある

それでも負の感情と思考は私から来ている

解釈しているのは私なのだ

問題などどこにもない

「問題」は人間の物語

 

私は深刻になる

それでも太陽はそこにある

明日は来る、宇宙は拡がる

それでいいから宇宙は拡がるのだ

存在の世界に深刻さがあるのか?

 

すべての物事には意味がある

すべてはそのままでいい

ありのままでいい

いや、そのままでもいけない

問題は確かにある

 

善と悪、光と影、二極の私

社会と自然界

暮らしの場所と未知の世界

この世界とあの世界

私は知らなくても存在はすでにそこにある

 

どこから来たのか分からない

どこにいるのか分からない

どこへ行くのか分からない

一瞬先さえ分からない

生まれること、生きていること、死ぬこと

 

分かるようで分からない

不思議なようで当たり前

美しいようで生々しい

日常のようで初めての今を

不確かな私が生きている

 

 

命の重さ

 

命は地球よりも重い

誰もがそのことを知っている

「かけがえのない命を大切にしなさい」

大人たちは子どもに命の尊さを教える

それでも自ら死を選ぶ人の多くは

その大人かもしれない

命とは何だろう?

偉大な学者でも名医でも答えるのは難しい

 

若くして亡くなる命

天寿を全うしたと言われる命

不憫な人生だったと思われる命

幸福な人生だったと言われる命

生まれる前に亡くなる命

悪意がなく奪われる命

情けを掛けられない命

命はどれほど重いのか?

 

名もなき者の言葉のように

別の姿を持つとすればどうだろう?

姿は変わっても終わりがないとすれば

人生のテーマを決めていたとすれば

それぞれのテーマを生きるためにここにいて

仕事をやり遂げて最期を迎えるとすれば

常識や倫理観を越えて感じ、考えるとすれば

命に長さや重さがなければ

 

 

不知ヨミ人

 

理解を越え、意図を越え、私が生きている

私を生かすものがある

生かすものが私を通して詠んだ

だから私は詠み人知らず

 

生かすものはこの世界を創造したもの

こうしている今も宇宙を拡大させるもの

あなたや世界や文明を進化に向かわせるもの

目には映らない生命の漣

 

生かすものはあの日に出会った私

今までも今も、これからも私

イシキとして魂として私は永遠かもしれない

だから私は黄泉人知らず

 

こんな言葉を誰が読むのか?

そこにあなたはいるのか?

私のようなあなたがいるのか?

だから私は読み人知らず

 

 

青写真

 

いつものやり方

不実を事実に仕立て上げた

絶対ではないものを絶対化し

不完全なものを完全化した

 

自我は科学を特別なものにした

それさえも織り込み済みかもしれない

私には「間違い」に見えるだけで

理由のある「間違い」があるのだろう

 

科学への信仰心が厚いほど

意識の変容は爆発的に起きる

飛躍的な進化の時が訪れる

世界はその時を待っているのかもしれない

 

宇宙の正体、私たちの正体

科学が正体に近づく時

繋がりの見えなかった道は一本になる

科学といにしえの教えが一つになる

 

 

原点回帰

 

進化する世界に「回帰」があるのだろうか?

それでも帰ろうとしているのかもしれない

初めからいた場所に、元々持っていたものに

実際に帰るのではなく、私は意識の上で帰る

 

生まれながらの属性

この世に一つの私に

創造性、進化としての私に

光と愛情、良心からの私に

 

生まれつきの能力

思考の力、信じる力、悦びの力、本心の力に

初めからいた場所、今ここという場所に

自然に、宇宙に、世界に

私の忘れてしまった私に

私は帰ろうとしているのかもしれない

 

 

月光

 

月は何をくれたのだろう?

何かくれているに違いない

私がそれを知らなくても

 

月は沢山書いた

曲を書いた、小説を書いた

手紙を書いた、詩を書いた

 

月はスポットライトのように照らした

恋人たちの心を、家族の心を

独りきりの心を

 

月は少し影がある

それでも多くの動物に見られた

意志を持って見つめられた

 

月は何をくれたのだろう?

私たちを励まし

私たちの心を育てた

 

昼の明かりも夜の明かりも同じかもしれない

それでも月越しの明かりは寄り添う

私の心を鎮め、穏やかな悦びをくれる

 

鏡越しでも違う

月越しの明かりは幽玄に

私の知らなかった心を照らしている

 

 

神輿に担がれる(あとがき)

 

私はとても愛されていました

あまりにも繊細に注意深く

だから私は知りませんでした

 

それで良かったのかもしれません

知っていては起きません

苦しみ、もどかしさ、失望、驚き、感動

 

だからこそ愛されていました

あまりにも繊細に注意深く

私に対する完全な信頼を持って

 

それに会うのはなぜでしょう?

それを見たのはなぜでしょう?

それが残り、次に繋がるのはなぜでしょう?

 

それに会うのはなぜでしょう?

それが浮かぶのはなぜでしょう?

広大無辺のこの海で

 

自分の足でここまで来たのでしょうか?

向かうと同時に現れました

ヒトも出来事も考えも感情も

 

ヒトが私を作り、出来事が私を作り

世界が私を作り

私はここに立っています

 

このために今までがあったのでしょうか?

このために私は作られたのでしょうか?

このためにここへ来たのでしょうか?

 

「神輿に担がれる」

このために知ったのかもしれません

事実、私が書きました

 

それでも私にしたものが書きました

あのメロディーが、あの一言が

あなたとの日々が、あのトマトが

 

私の食べたものが書きました、

私の見たものが書きました

私を生かすものが書きました

 

そしてあなたが

あなたのイシキが

あなた以上のあなたが